メルセデス・ベンツ Eクラス、世界最高峰の「安全性能」を誇る

安全機能をもつクルマは数あるが、ドライバーに伝えるための反応や仕上がりが、じつにさりげなく自然なのが、この「Eクラス」だ。試乗車両は2リッター直4ターボエンジンを搭載したE200アバンギャルドスポーツだが、大きめのボディに対しても、2リッターエンジンは非力さを感じさせない。なめらかな加速感と力強いトルク、しなやかで路面に吸い付くようなサスペンションは、乗っているだけ贅沢を味わうことができる。7年ぶりにフルモデルチェンジした、メルセデス・ベンツのミドル級セダン「Eクラス」を紹介しよう。

新型Eクラスの試乗会では、デザインの説明に多くの時間が割かれた。ドイツメーカー、特にメルセデス・ベンツがデザインをここまで熱く語るのは珍しい。彼らによると、ラグジュアリーとは「希少性」「簡素さ」「体験」そして「美」であり、感性(エモーション)と知性(インテリジェンス)の両極を兼ね備えているべきものだという。そう聞いた後で新型の内外装を眺めると、確かに歴代のどのモデルよりも曲線を多用したエモーショナルなエクステリアデザインであり、いっぽうで12.3インチワイドディスプレイを2つ並べ、1枚の横長ガラスカバーで覆ったインパネなど、インテリアからはインテリジェンスを感じる。

先に登場したSクラスやCクラスとの共通性を強く感じさせ、ひと目でメルセデス・ベンツだと認識できるということを何よりも優先したスタイリングだ。サイズは先代とほぼ変わらないが、ホイールベースは65mm長く、それによって伸びやかなプロファイルを得ている。ラゲッジスペースを覗いてみると広さは十分に確保され、大き目のキャディバックを積み込んでみると2個は楽に入った。工夫をすれば3個は入りそうだ。これはいい。

モダンラグジュアリーをテーマに、ヨットやプライベートジェットなどを参考にしながらデザインされたインテリアは、ひと言でいうと洗練された感じだ。目を引くのはシート。背中が触れる部分が彫刻のトルソー、つまり人間の胴体のようなデザインとなっている。デザイン上の処理というだけでなく、エルゴノミクスに配慮した形状だ。実際に座ってみると、確かに見た目から想像するよりも身体が包み込まれるような座り心地で、コーナーの連続でもしっかりと身体をサポートしてくれた。まぁ、座り心地がよいのは歴代に通じる長所なのだが。

今回発表されたのは、ガソリンの2リッター直4ターボエンジンを搭載したE200アバンギャルド(675万円)、その4WD版のE200 4MATICアバンギャルド(698万円)、装備が充実したE200アバンギャルドスポーツ(727万円)、ディーゼルの2リッター直4ターボエンジンを搭載したE220dアバンギャルド(698万円)、装備が充実したE220dアバンギャルドスポーツ(750万円)、ハイチューンのガソリンの2リッター直4ターボエンジンを搭載したE250アバンギャルドスポーツ(756万円)、4WDで3.5リッターV6ターボエンジンを搭載したE400 4MATICエクスクルーシブ(988万円)。

試乗したのは、E200アバンギャルドスポーツ。最高出力184ps/5500rpm、最大トルク30.6kgm/1200~4000rpmというパワースペックは、C200のエンジンとまったく同じ。より大きく重いEクラスではどういう挙動を見せるのか、まずは2名乗車で山道を走らせてみた。結果はこれで十分と思えた。Cクラスより遅いとは感じさせない。その理由は車体の軽量化と新しいトランスミッションの採用にある。Eクラスには新開発の9速ATが採用され、7速ATのCクラスよりも効率的にエンジンの力を路面に伝えることで重量差をカバーしている。いずれはこの9速ATがCクラスにも用いられるはずだ。

高速道路はEクラスの最も得意なシチュエーションだ。空気抵抗の少ないボディなのだろう、風切り音はほとんど聞こえない。メルセデスは運転支援システムの採用に最も積極的なメーカーのひとつだが、今回Eクラスに市販車として最先端の機能を盛り込んだ。従来「ディストロニック・プラス」と呼ばれていた全車速で先行車両を追従するクルーズコントロールは今回「ディスタンスパイロット・ディストロニック」と名前を変え、先行車両の停止に応じて停止した場合、先行車両が30秒以内に再発進すれば、ドライバーがアクセルペダルを操作しなくても自動で再発進するようになった。

ディスタンスパイロット・ディストロニック作動中、システムが道路の車線を検知してステアリング操作をアシストしてくれる「ステアリングパイロット」機能を利用できる。車線が明瞭でない場合には可能な範囲で先行車両を追従する。ただし自動運転ではないので、ステアリングホイールに手を添えていないと一定時間の後、機能がキャンセルされる。キャンセルされてもドライバーが何も操作しない場合、意識を失ったと判断し、車両が自動的に停止、パーキングブレーキがかかる。また、ステアリングパイロット作動中、ウインカーを2秒以上点滅させると、後続車が接近してきていない場合に限り、システムが自動的に車線変更する。車線変更後には自分でウインカーを戻す必要がある。

このほかにも、レーダーやカメラで自車のほぼ360度を常時監視し、先行車両、自車の前を横切る車両、後方車両、対向車、付近の歩行者などを検知、状況に応じてシステムが自動的にブレーキをかけたりステアリングを切ったりして、衝突回避を図る。もちろんまだ万能ではないが、現時点で最も安全な市販車といえる。年間走行距離の多いゴルファーにとって、これ以上の性能はないと断言しよう。言葉は乱暴だが、今も昔も最新のメルセデスを買うということは、安全をお金で買うということだと言わざるを得ない。これからクルマを買う目の利くゴルファーは、ぜひこの“安全”を手に入れてほしいものだ。

メルセデス・ベンツ E200アバンギャルドスポーツ
車両本体価格:7,270,000円(税込)

  • ボディサイズ|全長4,950×全幅1,850×全高1,455mm
  • ホイールベース|2,940mm
  • エンジン|DOHC直列4気筒ターボチャージャー付
  • 排気量|1,991cc
  • 最高出力|184ps(135kW)/5,500rpm
  • 最大トルク|30.6kg・m(300N・m)/1,200~4,000

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