新型メルセデス・ベンツGクラス、タフ&ワイルドがラグジュアリーを纏った

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タフなクルマはいくつか存在するし、ラグジュアリーを標榜するクルマも珍しくない。だがそれらの相反する特性を兼ね備えたモデルは稀有といえる。メルセデス・ベンツGクラスは、ゴルファーはもちろんのこと、ライフスタイルにこだわりを持った大人が指名買いするハイエンドSUVとして有名な1台。昨年39年ぶりに刷新された新型でも、タフでラグジュアリーな個性はしっかりと継承されている。

Paragraph01 ハイエンドにして永遠の定番

リーバイス501やMA-1ジャケット、コンバース・オールスター等々、オトコが好むアイテムには定番と呼ばれるものが少なくない。それらはカタチと機能が時空を越えて愛される完成形、もしくはマスターピースと呼ばれるものである。

クルマの世界における定番は、用途や価格帯も様々なので一概には言えないのだが、ハッチバックならばVWゴルフ、スポーツカーならポルシェ911といったモデルが、代替わりを経てもなお定番として扱われている。

一方、ハイエンドSUVを手に入れようとする人が避けて通れない、もしくは成功者が必ずと言っていいほど気にする1台といえば、メルセデス・ベンツGクラスで異論はあるまい。

Gクラスの車名はドイツ語でオフロード用の車両を意味するゲレンデヴァーゲンに由来している。オーストリアのシュタイア・プフが軍用に開発したタフなオフローダーをメルセデス・ベンツが民生用にプロデュースし、1979年から販売しているロングライフモデルである。

Gクラスのボディは見るからに武骨だが、ボディに散りばめられたスリーポインテッドスターによって洗練されたイメージを確保しているのである。

Paragraph02 39年目の刷新、その内容とは?

そんなGクラスは昨年、誕生から39年目にして初の大々的なモデルチェンジを果たしている。もちろんこれまでも4WD機構がパートタイムからフルタイムに変わったり、AMG製のエンジンを搭載したりといった変化はあった。

それでも前後ともにリジッドアクスルを使用するサスペンション機構をはじめとする基本構造は不変だったのである。

ところが一見しただけでは区別がつかないほど従来型に酷似している新型Gクラスは、ついにフロントのサスペンション形式が独立懸架に改められている。

それだけでなく、従来型から継続使用されている部品はドアハンドルとスペアタイヤカバー、サンバイザーとウインドーウィッシャーノズルだけという完全な刷新となっている。細部まで徹底的に見直しつつ、しかしスタイルは変えないという姿勢がメルセデスらしい部分といえる。

Paragraph03 時代とともに際立つ四角い個性

新しいか古いかで言えば角ばったボディは完全に後者に含まれる。ところが不思議なのは、その雰囲気が決して古くさくはないということだろう。

そんな相反するイメージはGクラスの随所にちりばめられていて、タフでワイルドな見た目にも拘らず、タキシード姿でホテルのエントランスに乗りつけてもサマになりそうな、独特のラグジュアリー感も持ち合わせているのである。

'70年代の終わりから作られていたGクラスだが日本市場で人気が高まったのは'90年代になってからのこと。道路交通網が発達している我が国ではGクラスの高い走破性を活かせるシーンなど滅多にないにもかかわらず、その人気は今日まで全く陰ることがない。

エアロダイナミクスを考え、クルマのボディがどんどんと丸みを帯びていく中で、かえってボディの四角さが際立ってきている事実はGクラスに吹いた追い風といえる。今回のフルモデルチェンジにおいてキープコンセプトを貫いた点も、本物を知るファンにとっては歓迎されるポイントに違いない。

Paragraph04 自分を強くさせてくれるクルマ

背の高いGクラスのコクピットに収まってみると、まるで自分が世界一の飛ばし屋、ダスティ・ジョンソンにでもなって350ヤードをぶっ飛ばせるような、何か鎧をまとって強くなったような、そんな気分になる。

一方ゴルフ場の駐車場で他人とかぶってしまっても、それがあまり気にならないという点も、流行り廃りとは無関係なGクラスらしい部分といえる。年式の新しい古いに関係なく、このクルマに辿り着いた者同士の尊敬、あるいは仲間意識のようなものもそこにあるのかもしれない。

強めに閉めないと半ドアになってしまうような往年のメルセデスらしい頑固なドアを閉めると、密閉性の高い室内は静けさに包まれる。

新型Gクラスの室内の見た目は今回の刷新によって最も変わったと思われる部分で、特にダッシュパネル回りは他の現行メルセデスにも通じる最新版となっている。

ドライバー正面のメーターパネルと、ダッシュ中央のモニターは2枚の横長のLCDパネルが並んでおり、最新のインフォテイメントやメルセデスが誇るレーダーセーフティを直感的に操作することが可能になっている。

今回のモデルチェンジで最新の電子制御関係をインストールすることは、フロントの足回りを独立懸架にしたことと同じくらいの重要事項だったという。

とはいえ変わっていない部分ももちろんあって、例えばGクラスのアイコンでもある3つのデフのコントロールスイッチは、ちゃんとダッシュパネルの中央にこれまで通り設置され、Gクラスの伝統を継承しているのである。

実際に新型Gクラスをドライブしてみると、相変わらずの見切りの良さに感心させられる。エッジが立ったボディは四隅がちゃんと把握できるので、狭い駐車場でもコーナーセンサーに頼ることなく取り回しができる。

これはスタイルがほとんど変わらなかったことのメリットといえる。 一方新型になって最も改善された点は直進安定性で、これは従来型に残されていた数少ない弱点でもあった。高速道路を走行するような際、右に左に微かに蛇行しているような感じだった従来型のハンドリングが、新型ではビシッと直進するスタイルに改められている。

Gクラスで遠出する際、これまでは少し我慢を強いられていたようなゴルファーにとって、新型は待ち望んでいた1台と言うことになる。 もちろんアップデートされたクセのないハンドリング特性はコーナリングや街乗りといった全てのシーンに良い影響を与えており、Gクラスはドライブして楽しいクルマへと生まれ変わっているのである。

Paragraph05 車重を往なす盤石の動力性能

日本市場で発売が開始された新型Gクラスはエンジンをはじめとする仕様の違いにより2つのグレードが用意されている。今回試乗したG550と、最強モデルであるAMG G63だ。

昨年の末にドイツ本国ではディーゼル・エンジンを搭載するG350dも発表されているので、こちらの導入にも期待した。 G550が搭載するV8ツインターボは422psの最高出力を誇るが、感心させられるのは2.5トン近い車重を苦にしないトルクの太さと9速ATとのマッチングの良さである。

今回の試乗では市街地と高速道路をあわせた256kmを走り、燃費は6.11km/ l(JC08モードの燃費は7.9km/ l)だった。スペックから考えれば、これは相当に優秀な数値といえるし、ガソリンタンクの容量も100Lあるので、600km以上の航続距離は確保されていることになる。

Paragraph06 乗車定員5人、キャディバッグ搭載は3本

リアのシートスペースは従来と同じく必要にして充分なものだが、一方でラゲッジスペースにキャディバッグを横方向に積むことは出来ない。これは従来モデルより左右の張り出しの高さが高くなったのが原因だ。これによって積載量は最大3本積載可能で、無理をすれば4本積むこともできるだろう。

開口部の幅は少し狭く、またスペアタイヤを背負っているリアゲートは操作感が重々しいが、それすらGクラスの巌のようなクオリティの高さとして感じられて頼もしい。

これまでGクラスを手に入れたいと思ったことがない人であれば、なぜこの武骨なメルセデスをクルマ好きや識者がこぞって選ぶのか理解できなかったかもしれない。一方、従来型のGクラスであらゆるシーンをカバーしようとすると、ちょっとしたやせ我慢が必要だった事実も否めない。

だが完全に生まれ変わった新型Gクラスにはスタイルや走行性能、そして普段の使い勝手に至るまでおおよそ弱点が見当たらない。名実ともに、最強のゴルファーズ・エクスプレスが誕生したのである。

MERCEDES BENZ G550
メーカー希望小売価格:15,930,000円~(税込)

  • ※写真はオプション装着車。
  • ※表示価格にはオプションは含まれておりません。
  • ※価格には保険料、税金(消費税除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
  • ボディサイズ  | 全長4817×全幅1931×全高1969mm
  • ホイールベース | 2890mm
  • エンジン | V型8気筒DOHCツインターボ
  • 排気量 | 3982cc
  • 最高出力 | 422ps (310kW) / 5250-5500rpm
  • 最大トルク | 610Nm / 2000-4750rpm
  • MERCEDES BENZ G550のトピック
  • ●他に似ない伝統的なスタイリング、ステータス性
  • ●新型になって直進安定性を増したハンドリング
  • ●世界屈指のオフロード走破性
  • Photo : Koichi Shinohara
  • Text : Takuo Yoshida

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