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BMW X2、低姿勢でアンフォローを貫く

SUVのラインナップを急速に拡大させつつあるBMW。その中にあってX2はスポーティかつコンパクトという個性的な立ち位置を与えられている。ラフロードをいとわない程度に高められた車高をそのままに全高を大胆に低めたX2 xDrive20i MスポーツXのスタイリングは確かに躍動的であり、これまでSUV嫌いだった人すら納得させる強い内容を秘めている。

Paragraph01 躍動的な、コンパクトSUV

さあ、次はどんなクルマに乗ろうか? 30代の頃は毎週末のように仲間と行くゴルフのことだけ考えて愛車を決めればよかったが、人生はいつまでも同じ環境のまま進むわけではない。

結婚して家族が増えることは当然のようにあるし、住んでいるマンションの関係で1台しかクルマを持てず、機械式立体駐車場のためにサイズが限られるというのも良くある話。

しかも平日にステアリングを握ることが多い奥さんは、視界が良く取り回しの楽なコンパクトSUVを希望! でも自分自身は退屈なクルマだけは絶対にイヤという強いこだわりがある……そんなケースだって珍しくない。

Paragraph02 小型の最新SUV、BMW X2

結局のところクルマという商品は社会を映す鏡であり、時代のトレンドに合わせて変化していくもの。だとすれば最新のモデルこそ、先端技術や見た目の流行のみならず、その時代ならではのいくつかの難しい要件を満たすモデルが多いといえるはずである。

21世紀に入ってからの自動車シーンでは、SUVがセダンに代わる新しいファミリーカーのスタイルとして好評で、自動車メーカーも様々なニューモデルを投入してきている。近年はSUVの中でも枝分かれが進んでおり、よりカスタマーのニーズに合ったモデルが市場を満たしつつある。

そのひとつの流れがSUVの小型化であり、コンパクトSUVの中でもボディサイズの違いによって二分化されている。今回ブルーダーが提案するBMW X2は全高を可能な限り低められたクロスオーバーSUVの代表である。

Paragraph03 BMW X2のボディサイズとそのメリット

BMW X2のキャラクターを理解するには、やはりボディサイズから入るべきだろう。4375mmという全長はBMW1シリーズと同じくらいだが、全幅1825mmは3シリーズよりも若干ワイドなくらいで、一方1535mmという全高はセダンより確実に高く、しかし車名がXからはじまるBMWのSUVラインナップの中ではダントツに低いのである。

SUVであるにもかかわらずボディを低くすることのメリットとは何なのか? 重心が低くなることで向上するハンドリングと見た目がスポーティになること、そして機械式の立体駐車場に入るようになることが挙げられる。もちろん立体駐車場は全高1550mm、全幅1850mm以内と規定しているところが多く、X2はこの条件もクリアしているのである。

ちなみに同じプラットフォームを持っているBMW X1は全高が1600mmに設定されているので、従来通りのSUVボディをスケールダウンしたような作りになっている。

Paragraph04 新鮮さを打ち出したスポーツアクティビティクーペ

既存のBMWにはなかったサイズ感を持ったX2を、BMW自身はSAC(スポーツアクティビティクーペ)と呼んでいる。SUVのカテゴライズはあまり明確ではなくテキトーなのだが、それでもSACという独自の呼び名はクルマの性格をよく表しているように思える。

またX2のUNFOLLOW(常識や周囲の評価起点ではなく、自分の道はいつも自分で切り開く)というキャッチコピーも新鮮に感じられる。そんなBMW X2の日本におけるイメージキャラクターは香取慎吾である。メルセデス・ベンツが最小のAクラスによって顧客層の若返りを果たしたように、BMWも21世紀になって登場した1~2シリーズでライバルに対抗しているのである。

Paragraph05 スポーティで納得のいくスペック

BMW X2はエンジン横置きの前輪駆動、もしくは4駆というパワートレインを与えられている。古くからのBMWファンは、直列6気筒をエンジンルームに縦に置いたFRレイアウトを至上とする傾向があるが、しかし20代から30代までの若いカスタマーにとって、メカニカルな形式はあまり重要視されていないだろう。だがブルーダーは、X2のドライブフィールがBMWらしいスポーティなものでなかったら納得がいくまい。

今回試乗したモデルはBMW X2の最上級グレードであるX2 xDrive20i MスポーツXである。2リッターの直列4気筒ターボ・エンジンと4駆システムにMスポーツ製のアシを装備したモデルとなる。

組み合わされるトランスミッションは1.8リッターモデルは7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)だが、2リッターモデルは8速のATが組み合わされている。

Paragraph06 使い勝手

X2のイメージカラーであるガルバニックゴールドのボディはインパクト充分で、サイズ以上に大きく見える。 リモコンキーによってリアゲートを開け、さっそくラゲッジスペースをチェックする。しぼられたリアボディと内側があまり大きくえぐれていないラゲッジスペースの影響によりゴルフバッグを横方向に積むことはできない。

だが3分割のリアシートの背面を倒すことによって縦方向に2本のゴルフバッグを積むことは容易にできるだろう。

普段使いを考えれば、ラゲッジスペースの容量はたっぷりと確保され、またSUVらしく荷室の床面も高めに設定されているので、荷物の出し入れで腰を痛めることもなさそうだ。

Paragraph07 鮮烈なドライブフィーリング

運転席からの眺めは、他のBMWと同様にスポーツカーのように精悍で、全くSUVといった感じをさせない。シートもスポーティな形状になっているが、しっかりと腰をホールドしてくれるので長時間のドライブもストレスフリーでこなせそうだ。

肝心要となるドライバビリティは「眼から鱗レベル」の鮮烈なもので、少し握りの太い革巻きステアリングを拳半個ほど切っただけでスパッと鼻先が変わる。その際にあまりロールも伴わず水平に移動する感じが新鮮だ。スポーツカー顔負けの運動性能をX2に与えているのはMスポーツのサスペンションシステムで、クルマ好きは諸手を上げて歓迎するに違いないが、ファミリーカーとして使った時にはどうか?

乗り心地にうるさい家族がいたらすぐに指摘されてしまうかもしれない。そうならないためのコツは、ディーラーで試乗させてもらう際ただただゆっくりと走るだけに留めておくことである。

Paragraph08 BMW X2の総評

192psを発揮するエンジンと8速ATの組み合わせも鋭いスタートダッシュと、安定したハイウェイクルーズに貢献している。だがパワートレインに関しては、前輪駆動ではないということはわかるが、あまり4駆であることが前面に出てこない様に思えた。

BMW X2はどこか一部分、というよりクルマ全体でスタビリティやスピードを体現しているバランス感覚に優れた1台なのである。低く構えた攻撃的なシルエットに大径のタイヤが主張し、見た目のインパクト充分なBMW X2 xDrive20i MスポーツX。SUVの高い実用性を犠牲にすることなく、しかしクルマ好きの五感を刺激するスポーツカードライバビリティを身につけたBMWらしいコンパクトSUVは、走るステージを選ぶことなく全く新しいクルマの可能性を見せてくれる。

これまでSUVのことが眼中になかったブルーダーでも、BMW X2のステアリングを握れば、ゴルフ場までの平凡な移動が刺激的なドライビング体験へと様変わりするに違いない。

BMW X2 xDrive20i MスポーツX
メーカー希望小売価格:4,360,000円~(税込)今回の撮影車X2 x Drive 20i MスポーツX は5,150,000円(税込)

  • ※写真はオプション装着車。
  • ※表示価格にはオプションは含まれておりません。
  • ※価格には保険料、税金(消費税除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
  • ボディサイズ  | 全長4375×全幅1825×全高1535mm
  • ホイールベース | 2670mm
  • エンジン | 直列4気筒DOHCインタークーラーターボ
  • 排気量 | 1998cc
  • 最高出力 | 192ps (141kW) / 5000 rpm
  • 最大トルク | 280Nm / 1350-4600rpm

 

  • BMW X2 xDrive20i MスポーツXのトピック
  • ●高められた車高と低い全高が生み出す軽快感
  • ●BMWらしい切れ味鋭いハンドリング
  • ●想像以上にゆったりとした室内空間
  • Photo : Koichi Shinohara
  • Text : Takuo Yoshida

 

問い合わせ先

BMW ジャパン
フリーダイヤル:0120-269-437http://www.bmw.co.jp/ja/index.html

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