ゴルファーが牽引するEV(電気自動車)の時代

一貫してガソリン車に乗り続けてきたベテラン・ドライバーにとって、電気自動車はまだ現実的な選択肢と言えないのかもしれない。だが昨今、自動車世界の魅力的な話題には必ずと言っていいほどハイブリッドやEV(電気自動車)と言ったキーワードが絡んでくる。EVの現状を今一度整理し、ゴルファーにとっての選択肢を挙げてみよう。

進む自動車のEV化

望むと望まざるとに拘わらず、自動車のEV化は刻々と進んでいる。その背景には様々な理由が存在するのだが、大きな理由は2つあると考えられる。走行時にCO2やNOXを排出しないいわゆるゼロエミッションが、年々厳しさを増す各国の排出ガス規制に有効であること。そしてEVのパワートレーンの方がガソリンやディーゼルのそれと比べシンプル=低コストであることだ。

古くからEVに触れ、その有用性を認知しているのは実は我々ゴルファーに他ならない。市販のEVが普及しはじめる以前は、電動のゴルフカートこそ最も一般的に活躍しているEVだったからである。夜間やランチタイムにクラブハウスで充電し、昼間に決まったエリア内で比較的低速で使用するゴルフカートはEVの特性に合致した乗り物なのである。

EV自動車の長所と短所

現在手に入る市販のEVモデルを紹介する前に、現状におけるEVの長所と短所について触れておこう。

前述のゼロエミッションや低コストもある程度エンドユーザーのメリットに含まれるが、それよりも大きいのが燃料代の節約である。EVとガソリン車やハイブリッド車の燃費は算出方法が異なるため、巷には様々な情報が錯綜している。

中には初代リーフの燃費(電費)を90km/lと見積もるものまであったが、現実的な燃料代は20km/l程度走るガソリン車の倍程度というのが実数値に近いようだ。だがそれは自宅に10万円ほど掛る充電設備を備えた場合の話である。一方、ガソリン車にはオイル交換をはじめとする維持費も経済性に含まれるので、コストの単純比較が難しいのである。

デメリットとしては、航続距離の短さや、足りているとは到底思えない充電スタンドの数、そして寿命を迎えたバッテリーの処理も避けて通ることのできない問題といえる。航続距離に関しては、新型の日産リーフは400kmの大台に達し、輸入車ではテスラ・モデルS100Dが594kmを標榜している。

だがこの数値は、推進モーター以外の電力の使用や気象条件等で変化すると考えた方がいいだろう。一方、充電スタンドやバッテリー廃棄といったインフラの問題は、EVの普及に直接的に関わる問題なので解決の方向に進んでいくはずである。

現在市販されているEVの中で最も一般的なモデルは、先ごろ2代目にモデルチェンジを果たした日産リーフが挙げられるだろう。また、国産ではやはり日産の商用車であるe-NV200、三菱のi-MiEVといったあたりが一般的だ。しかし、ラゲッジスペースの容量やラグジュアリー性など、ゴルファーの視点に立って考えた場合に現実的なのは輸入車だろう。

輸入EVとして真っ先に名前が挙がるのはアメリカのEV専業メーカーであるテスラ社の製品である。同社はフルサイズセダンのモデルS、SUVのモデルX、そしてデビュー間近のミドルセダンであるモデル3を用意している。

一方、ヨーロッパ勢としては「BMW i」というEV専業ブランドを立ち上げたBMWが際立っている。比較的コンパクトなコミューターであるi3とスポーツカーのi8は、どちらもカーボンファイバー製の専用フレームを持つ点で独創的といえる。

またフォルクスワーゲンも既存のゴルフとアップ!をEV化したe-ゴルフとe-アップ!で一定の評価を得ており、ガソリンモデルと同等のスペースユーティリティ、使い勝手を誇っている。

ポルシェ、メルセデスも未来のEVを発表

現在のEV界においては、既存のモデルよりも未来のモデルの方が注目度は高い。開発のスタートが正式にアナウンスされ、2019~2020年にデビューすると言われるポルシェのミッションEはその筆頭だ。

メルセデスベンツもEVブランドである「EQ」を立ち上げ、2020年中に市販のSUVモデルをリリースすることを目指している。

イギリスのジャガーは、iペイスという車名のピュアEVを2019年前半にリリースすると公言し、

一方、スウェーデンのボルボはやはりEV専業のブランド「ポールスター」を立ち上げテスラの市場を狙う。このように、名の知れた自動車メーカーであれば「EV対策室」が忙しくて当然という現状なのである。

今回のタイトルを「ゴルファーが牽引する……」としたのは理由あってのことだ。ゴルフクラブまでの日帰りの走行距離を考えれば、EVで賄えるレンジであることが多いし、ゴルフクラブに於ける充電設備の普及も勢いを増していくはず。

一方、カントリーサイドにあって広大な敷地を誇るゴルフクラブの側も、例えば2基の発電用風車と駐車場の屋根に太陽光パネルを備え、これらで発電したクリーン電力をゴルフカートの充電に活用している浜名湖カントリークラブのように、電力とスマートに向かい合うスタイルが一般的になっていくはずである。進境著しいEVの世界を、現実的に捉えるべきタイミングがやってきているのである。

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