クルマ好きであれば「イタリア車」に特別な感情を抱く方も多いはず。フェラーリやランボルギーニ、マセラティ、アバルトといった珠玉のブランドがひしめき合い、なにしろデザインが美しい。さらに、走りが官能的である点もクルマ好きをひきつけてやまない理由だろう。
マセラティはレーシングカー作りに端を発するイタリアの古豪。スーパーカー世代にとっても印象深いブランドだし、近年のモデルはより一層ラグジュアリーなテイストをおびており好評だ。「レヴァンテ」はそんな彼らが初めて送り出したSUVであり、優美なスタイリングや質の高い革をふんだんに使ったインテリアといったマセラティの伝統に、使い勝手の良さをプラスしたモデルだ。
今シーズン、レヴァンテのラインアップにハイブリッドモデルが追加された。試乗した「レヴァンテGTハイブリッド」は48VのMHEV(マイルドハイブリッドシステム)を仕込んでおり、4ドアサルーンの「ギブリ ハイブリッド」に次ぐハイブリッドマセラティの第2弾モデルとなる。昨年レヴァンテのディーゼルモデルがラインアップ落ちし、代わりにハイブリッドが加わったことは、まさに今という自動車の変革期を象徴しているように感じる。
全長5005ミリのボディサイズは、BMWでいえば「X5」よりも少し長く、アウディ「Q7」よりもわずかに短いといえば、サイズ的に捉えやすいのではないだろうか。エンジンは2.0リッターの直列4気筒ターボで、48VのMHEVシステムが組み合わされることで330psを発揮する。パワートレーンはAWD(全輪駆動)となる。
レヴァンテにはGTハイブリッドのほか、V8ガソリンエンジン搭載の「トロフェオ」、V6搭載の「モデナ」と「モデナ S」がラインアップされている。では、エンジンを積んだモデルではなく、GTハイブリッドを選ぶメリットはどこにあるのか?
それは、時代を意識したエコロジーへの配慮。もうひとつは、既存のV6モデルに対してすっきりとしたドライブフィールの持ち主であるという点だろう。ほどよいエコロジーは、V6モデル比で18%のCO2排出量低下という数値により裏付けられている。また、ボディに「HYBRID」という文字が入っていないことを歓迎する人も多いと思う。
ガソリンモデルとの違いは、マセラティの伝統的な意匠であるフロントフェンダーに開いた3つのエアアウトレットの縁が青くトリムされている点。そして、Cピラーに掲げられた鉾(トライデント)のエンブレムや、ホイール内に見えるブレーキキャリパーが青くお化粧されていることくらいと控えめだ。
レヴァンテGTハイブリッドの最も重要なポイントは、ハイブリッド化によって失ったものが見当たらないという点だろう。V6モデル(モデナ)と比較すると、最高出力は350psから330psに抑えられているが、0-100km/h加速の数値(6秒)は全く一緒。
リアのフロア下にバッテリーユニットが仕込まれているにもかかわらず、ラゲッジスペースの容量も変わらない。車重に関してもカタログ上の数値は全く一緒なのである。
一方で、4気筒エンジン搭載でフロントが軽くなり、かつバッテリーによってリアが重くなったことでドライブフィールには違いがある。前後の重量配分が均等に近づいたおかげでハンドリングは軽やかになり、マセラティらしいスポーティな感覚が味わえるのである。
その乗り心地は、しっとりとして静か。足回りはエアサス装備だし、サイドウインドーに二重の防音ガラスが用いられていることで、プレミアムSUVの感覚を存分に堪能できるものに仕上がっている。
10年以上前であればマセラティとSUVというだけでも相いれない異質な感じがしたが、今はさらにハイブリッドも加わった。それでいて、ちゃんとマセラティらしいキャラクターを楽しめるのだから、レヴァンテを選ぶ際、あえてGTハイブリッドを指名するのはありだろう。
マセラティ レヴァンテGTハイブリット 車両本体価格: 11,490,000 円(税込)
- ボディサイズ | 全長 5005 X 全幅 1981 X 全高 1693 mm
- ホイールベース | 3004 mm
- 車両重量 | 2280 Kg
- エンジン | 直列4気筒 ガソリン ターボ + 48V MHEV
- 排気量 | 1995 cc
- 変速機 | 8速 AT
- 最高出力 | 330 ps(243 kW) / 5750 rpm
- 最大トルク | 450 N・m / 2250 rpm
- 最高速度 | 245 km/h
- 0-100 km/h | 6.0 秒
- Text : Takuo Yoshida
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