ランドローバー「レンジローバー SV PHEV P510e」が見せる極上の走り

今年5月、「レンジローバー」の2024年モデルが発表され、すべてのモデルが電動化されるという。23年モデルで電動化されていたパワートレーンは、3.0リッター、直6ガソリンのPHEV(プラグインハイブリッド)とD300と呼ばれる3.0リッター、直6ディーゼルMHEV(マイルドハイブリッド)となる。24年では4.4リッターのV8と、3.0リッターのディーゼルもMHEV(マイルドハイブリッド)化されることになった。

<関連記事>新型「レンジローバー スポーツ」をあえて選びたい理由

今回試乗したのは23年のPHEVモデル「レンジローバーSV PHEV P510e」。最高出力510psを発揮するスタンダードホイールベースモデルとなる。PHEVの識別点はわずかで、リアフェンダーの充電ポートとコクピット内のメーターに仕込まれたEVメーター、そしてセンターモニターのEV専用のアプリだけだ。

最大の関心事はEV走行の距離だろう。今回、走行前のメーターにはバッテリー75%の状態で63km走行可能と表示されていた。100%の状態で80km強(カタログ値は112km)走ると考えれば、比較的距離の短い平日の移動には十分な航続距離といえる。

PHEVモデルの走らせ方で他のグレードと違うのは「ハイブリッド」「エレクトリック」「セーブ」という3つの走行モードの使い分けのみ。今回はまずハイブリッドモードで走りはじめた。メーターを見ていると、発進の瞬間のみならず少し強めにスロットルを踏んだ際もモーターが積極的にエンジンをアシストしていることがわかる。エンジンとモーターの連携は非常に密だが、それでもパワー感はすこぶるパワフルなV8とは違って静かでスムーズな印象だ。

セーブモードでは、バッテリーを充電しながら走行するのだが、度々モーターのアシストが入るので、充電量を増やすことはできなかった。アプリでバッテリー残量を設定しなければ、かなりの電力を消費してしまうようだ。充電は基本的に自宅で行うスタイルなのだろう。

ハイブリッドモードでもあまりエンジンの存在感を感じさせず、新型レンジローバーの完成度の高さが感じられた。だが、それにも増してエレクトリックモードを使用している場合や、発進の瞬間など、モーターのみで走行をしている際の印象がすばらしかった。レンジローバーのPHEVモデルは、動力源のノイズが感じられないだけでなく、風切り音やタイヤのノイズを含め、完全なBEVを思わせる極上の静けさと、その雰囲気にマッチした柔らかい乗り心地の持ち主なのである。

PHEVはエンジンとEVによって車重が増しているが、それすらレンジローバーらしいしっとりしたドライブフィールにつながっていると思う。最新世代のエアサスペンションの穏やかな動きも走りの完成度を高めている。

特にパワフルなモデルを望むのであればV8モデル以外に選択肢はないが、これまで標準的なガソリンモデルに満足してきたオーナー、そしてレンジローバーらしい優雅で上品な走りを求めるのであれば、PHEVということになるだろう。モデルイヤーは変わっても、完成度の高さは担保されているはずだ。

ランドローバー レンジローバー SV PHEV P510e   車両本体価格: 2551万円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 5060 X 全幅 2005 X 全高 1870 mm
  • ホイールベース | 2995 mm
  • 車両重量 | 2980 kg
  • エンジン | 直列6気筒 ターボ
  • 排気量 | 2993 cc
  • 変速機 | 8速 AT
  • 最高出力 | 400 ps(294 kW) / 5500 - 6500 rpm
  • 最大トルク | 550 N・m / 2000 - 5500 rpm
  • モーター | 交流同期電動機
  • 最高出力 | 105 ps / 2950 rpm
  • 最大トルク | 275 N・m / 1000 - 2900 rpm

お問い合わせ先

Text : Takuo Yoshida

閉じる