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ワクワクするほどの機敏性と速さがウリ BMW「M2クーペ」

昨年10月に発表された2代目となるBMW 「M2クーペ」。このクルマの構成手法はBMWの伝統にのっとっている。2ドア、FR(後輪駆動)のシャシーに太めのタイヤを履かせてボディを拡幅。フロントボンネット下に収まるパワーユニットはパワフルなストレート6(直列6気筒)のエンジンだ。

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このモデルを語るときに重要なのは、タイヤを覆うために張り出したグラマラスなフェンダーだけでなく、フロントマスクや前後バンパーも他の「2シリーズ」と違う専用デザインになっていることだろう。小さなエンブレムバッジを確認するまでもなく、クロームパーツをなくした見た目だけで2シリーズ最強のモデルだと区別できる。ハイパフォーマンスモデルはドライビング性能も重要だが、さりげない見た目のアピールもうれしいものだ。実車を目の当たりにすると、堂々としたサイズ感に驚かされる。例えば車幅、タイヤ幅(前275、後285)は兄貴分である「M4クーペ」とほぼ同一。それでもホイールベースだけは110ミリ短縮されているので、敏捷性の高さは十分に期待できるかもしれない。

シートに座って興奮しないクルマ好きはいないだろう。試乗車にはオプションの「Mカーボンバケットシート」が装着されており、座るというより身体がピタリとはまる感覚だった。自然な位置に6速マニュアル(MT)のシフトレバーがあるというのも重要だ。

460psという最高出力が示すとおり、あらゆるシチュエーションで速いクルマだった。エンジンはほとんどターボラグを感じさせず、まるで自然吸気エンジンのように滑らかに吹け上がるし、ステアリング操作に対するアクションも非常に機敏。高速道路の本線を飛ばして走るよりも、インターチェンジのカーブが迫ってくるとワクワクしてしまう、そんな一台だ。

ちなみにMTのシフトダウンが苦手、ヒール&トゥってどうやるんだっけ?という人でも心配はいらない。非常に優秀なオートブリッパー(エンジン回転数を自動的に合わせる機能)が付いているので、ブレーキを踏みながらシフトレバーを操作していけば、エンジン回転は完全にクルマが合わせてくれる。

また最新のBMWだけに、ADAS(先進運転支援システム)の機能がATモデルと遜色なくそろっている点も購入する際の安心材料といえるだろう。渋滞中のエンジン回転には気を付ける必要があるが、ちゃんとACC(アダプティブクルーズコントロール)が備わっている。ダッシュボード上には、メーター類からナビゲーションモニターまでが湾曲した一枚のパネルでつながった「BMWカーブド・ディスプレイ」が据えられている。インフォテインメントはもちろん、ブレーキやステアリング、シャシーやエンジンといったドライビングモードの細かな設定もタッチパネル内で設定できるようになっている。

またMモデルならではの「Mドリフトアナライザー」もパフォーマンスを代弁する興味深い機能だ。これはクローズドのコースで試すドリフトの完成度をクルマが評価してくれるというもの。後輪のスリップ率を10段階で調整できる機能に、本気度がうかがえた。とはいえ、実際にドリフトに興じるオーナーは多くないかもしれないが、「自分はレーシングカーのようなモデルに乗っているんだ!」という気分に浸れるという点で、遊び心を感じさせてくれる機能といえるだろう。

MTは好みではないという人には8速ATが同じ価格で用意されているし、Mモデルの中で最も機敏なドライビング性能を考えれば、1000万円を切る車両価格はバーゲンといえるはず。「iX」のようなBEV(バッテリー式電気自動車)のとなりにM2クーペを置くのが、感度の高いクルマ好きらしいスタンスではないだろうか。

BMW M2 クーペ   車両本体価格: 958万円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 4580 X 全幅 1885 X 全高 1410 mm
  • ホイールベース | 2745 mm
  • 車両重量 | 1710 kg
  • エンジン | 直列6気筒 ターボ
  • 排気量 | 2992 cc
  • 変速機 | 6速MT
  • 最高出力 | 460 ps(338 kW) / 6250 rpm
  • 最大トルク | 550 N・m / 2650 - 5870 rpm

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Text : Takuo Yoshida

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