3代目ポルシェ カイエンの独走は続く

ポルシェ カイエンというクルマが築きあげた功績は大きい。2ドアのスポーツカー専門だったポルシェが5ドアのクロスオーバーSUVを作った事実はポルシェ史上初のトピックであり、その成功が現在のポルシェの繁栄に繋がっている点も見逃せない。さらにはカイエンの登場によって数多のスポーツカーブランドがSUV市場に進出するきっかけにもなったこともこのクルマの功績なのである。

Paragraph01 911の精神を継いだSUV

2002年に登場したポルシェ初のSUVであるカイエン。今やポルシェを代表するほどの存在に成長したこの車両は、昨年3代目へのフルモデルチェンジが発表され、2018年後半からデリバリーがはじまっている。

初代911のデビューから55年が経ち、特徴的なリアエンジンのクーペボディがポルシェのアイコンにもなっているのと同じように、3代目となるカイエンもひと目でカイエンだとわかる象徴的なスタイリングを与えられている。

説明不要のブランド力とスポーティな走り、そしてボディサイズから想像される通りの室内空間の広さは、クルマ好きゴルファーにとってベストバイといえる1台となるだろう。

すぐにカイエンだとわかる新型カイエンのスタイリングの印象は、2代目と比べあまり大きな変化がないと思われるのだが、それでもリアのスタイリングにはっきりと進化の跡が伺える。

左右のテールランプがPORSCHEのロゴ入りのガーニッシュによって横一線で結ばれ、ワイドボディと安定感の高さが表現されている。

近年のポルシェは横一線のデザインを積極的に取り入れているが、そのモチーフとなっているのは、やはり911なのである。

Paragraph02 軽く上質になった中身

スタイリング上の変化は大きくない3代目カイエンだが、中身の部分は完全に新型となっている。フォルクスワーゲングループのMLBエボ・プラットフォーム(モジュラー・ロンギチュー・ディナルマトリック)を採用した新型のカイエンの性能向上のガキは軽量化で、先代よりも70kg近く軽くなっている。

最新プラットフォームのメインとなる素材はスチールだが、現代では硬さの異なるスチールを部位ごとに使い分けることが主流となっており、最も強度のある超高張力鋼板の使用率も高まっている。またMLBエボはスチールの他にアルミやカーボンといった素材を組み合わせることによって軽量化と強度アップを両立しているのである。

もちろんプラットフォームが新型になれば、サスペンションをはじめとする各部も刷新される。サスペンションアームはもちろんのこと、前後のブレーキキャリパーにもアルミニウムを使用し軽量化を追求している。

また乗り心地とスポーツ性能を両立させるエアサスや、街中の小回りと高速走行の安定性に効く後輪操舵システムといった多くのシステムも最新フェーズのものがオプションで用意されている。

Paragraph03 3モデルがラインナップ

3代目カイエンの日本市場におけるラインナップは3車種で構成される。3リッターV6ターボ・エンジンを積むベーシックモデルのカイエン、新開発の2.9リッターV6エンジンで440psの最高出力を実現したカイエンS、そして550psを発生する4リッターV8ターボ・エンジンを搭載するフラッグシップモデルであるカイエン・ターボである。

今回の撮影車輛はベーシックなカイエンで、もちろんラインナップ中最も車重の軽いモデルである。とはいえクオリティに関しては流石ポルシェと唸らされる仕上がりで、それは外観のみならず室内にも徹底されている。

インテリアは2代目から大きく進化を遂げた部分で、パナメーラやマカンといった兄弟モデルにも通じるコクピットの眺めは、SUVというよりスポーツカーそのものといった印象を受ける。特に水平方向に伸びやかになったダッシュパネルの中央に陣取る横長のモニターや黒い平面パネルにはタッチコントロール式のスイッチが仕込まれており、全体が高級オーディオのようなすっきりとした見た目を創出している。

一方上質な革が使用されたシートは、ポルシェ作品らしく乗員の体を包み込むような形状のバケットタイプになっており、ベーシックモデルといえどクオリティは非常に高い。コクピット全体の雰囲気は弟分のマカンに通じているが、特に乗員の両脇のスペースには余裕があり、スポーティなだけではない居住性とカイエン特有のラグジュアリー感を醸し出しているのである。

Paragraph04 ラゲッジスペースは最大で1710リットル

ゴルファーにとって大切な荷室の容量は、リアシートを使用している状態でも745リットルを確保。またリアのシートバックは4:2:4の分割可倒式になっており、ラゲッジスペースは最大で1710リットルもの大容量を実現している。

またSUVとはいってもスポーティで車高も抑えられたカイエンは、トランクフロアの高さも大人の腰より少し低い程度でゲートも大きく開くので、荷物を出し入れもスムーズに行うことができる。

一方リアシートは、座面のサイズや足元スペースも広く確保されており、完全にフロントシートと同様のゆとりが確保されている他、サイドのガラスも大きく視界も広い。まさにポルシェが標榜する4つのシートでスポーツカーの走りを体感できる(乗車定員は5人)、というカイエンのコンセプトに忠実なシートレイアウトなのである。

Paragraph05 さらに高まった走行性能

各部のクオリティが上がり、最新のポルシェとしての価値がはっきりと高まったことが確認できる新型カイエンだが、他のSUVと違いをはっきりとさせているのはやはりドライバビリティの部分である。

カイエンのパワーユニットは340psを発生する3リッターV6ツインスクロールターボで、8速ATと組み合わされている。フルサイズのSUVで2トン少々という車重は、トップクラスに軽く出だしのダッシュも鋭いが、ステアリングを切った時のボディの追従性も優れている。走りは軽快そのものであり、背の高いクルマ特有の大きなロールや、コーナリングの切り返しでフラつくようなことは一切ない。

高速道路でも、ゴルフ場手前の曲がりくねったワインディングでも、新型カイエンの走りにはおおよそ死角が見当たらないのである。

Paragraph06 最新のコネクティビリティを装備

スポーティな走りとクオリティの高さを特徴としているポルシェだが、現代車にとって欠かせない要素であるコネクティビリティに関しても抜かりはない。

PCM(ポルシェ・コミュニケーション・マネージメント)を操るモニターは12インチのタッチスクリーンで音声認識も一段と賢さを増しているし、ナビゲーションプラスやiPhoneと連動してアップルカープレイも直感的で扱いやすい。

このため他ブランドの最新モデルからカイエンに乗り換えたとしても、コネクティビリティで見劣りすることはない。

Paragraph07 再びカイエンの独走は続く

今回3代目へと進化したカイエンだが、実は2代目のモデルライフが半ばに差し掛かった2014年に通常のマイナーチェンジよりも大きな改良が行われている。細かなアップデートによって、登場以来一貫してカイエンはSUVのスポーツ性能の規範であり続けているのである。

ポルシェという説明不要のハイブランドを代表する1台であり、ポルシェ911にも通じる操作感や、他のSUVの追随を許さないドライバビリティを実現している新型カイエン。さらにインフォテイメントや、アダプティブクルーズといった最新の機能に関しても最新のものが提供され死角がない。

976万円からという価格設定も、さらに磨きのかかったドライバビリティを味わった後では“リーズナブル”と思えてくる。 荷物はたくさん積めるけれど、走りが退屈だからSUVを毛嫌いしている人がいたら、ぜひカイエンのステアリングを握ってみることをおススメしたい。

PORSCHE CAYENNE
メーカー希望小売価格:メーカー希望小売価格:9,760,000円~(税込)

  • ※写真はオプション装着車。
  • ※表示価格にはオプションは含まれておりません。
  • ※価格には保険料、税金(消費税除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
  • ボディサイズ  | 全長4918×全幅1983×全高1696mm
  • ホイールベース | 2895mm
  • エンジン | V型6気筒DOHCターボ
  • 排気量 | 2995cc
  • 最高出力 | 340ps (250kW) / 5300-6300rpm
  • 最大トルク | 450Nm / 1340-5300rpm

 

  • PORSCHE CAYENNEのトピック
  • ●ひと目でわかるポルシェの存在感、見た目のクオリティ
  • ●軽量化によってさらに高められたスポーツ性能
  • Photo : Koichi Shinohara
  • Text : Takuo Yoshida

 

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