2015年にデビューしたジャガー初のクロスオーバーSUVである「F-ペイス」から、最もスポーツ性能を高めた「F-ペイスSVR」が登場。ラインアップ最高峰のパフォーマンスを誇るという新型モデルに乗り込み、その実力を確かめた。
長らくブランドを象徴するメインモデルとして扱われた「XJ」が2年前にその生涯を閉じ、代わってジャガーの主役となったF-ペイス。サイズ感としてはBMWでいえば「X5」、レクサスでいえば「RX」と同じクラス。
ライバルとの違いはずばりジャガーであること。つまり、ネコ足と呼ばれるしっとりとした乗り心地と、スポーティなハンドリング。これらが、鋭く躍動的なボディの中で共存している。
今回のF-ペイスSVRは、特注モデルを作り上げることに長けたジャガー社内のエンジニアリング集団、スペシャルビークルオペレーションズ(SVO)によって仕上げられたハイパフォーマンスモデルである。
他メーカーで例えるとメルセデス・ベンツのAMG、アウディのRSモデルのような感覚なのだが、イギリスという国の伝統を踏まえれば、少し違う捉え方もできる。紳士の身の回りの品やF1に代表されるレーシングカーなど、“究極のあつらえ”を得意とするお国柄が生みだした、好事家のワガママを叶える一台という見方もできるのだ。
大人5人がゆったりと過ごすことができ、ラゲッジスペースの容量も必要にして十分。そんなF-ペイスの優れた素性にSVRのドーピングが追加されている。5.0リッターV8エンジンは550psを発生し、ギアボックスはパドルで素早いシフトチェンジを受け付ける8速AT。
駆動はもちろんAWD(全輪駆動)なのだが、そこはスポーティを是とするジャガーらしく、シャープですっきりとしたハンドリングによりドライブフィールの中にAWD臭を残さない。
この手のハイパフォーマンスモデルの常識として、F-ペイスSVRの乗り心地は硬めだ。ステアリングを握った感触もずしりと重めですぐに特殊なクルマであることがわかるし、実際にクイックなハンドリングの持ち主でもある。コーナーでは少しもSUV的な腰高な感じがせず、これぞジャガーという身のこなしを見せる。
クルマの性格としては家族でゆったり移動するという感じではなく、アスリート志向のオーナーがゴルフ場までの道のりを急いでいる時に真価を発揮するタイプといえるのかもしれない。実際にシュッとした切れ長のヘッドランプに象徴されるスタイリングからも、そんな鋭い性格が見て取れる。
F-ペイスは今年でデビューから7年目。決して目新しくはないが、歴代のジャガーがそうであったように、時間を掛けて熟成されるブランドであることも忘れてはならないだろう。特に2022年モデルのF-ペイスSVRは、イギリス車の特徴である懐の深いハンドリング、そしてダイナミックな走りの質感がこれまでにないレベルで高まっている。今あえてF-ペイスを選ぶのは、時間とともに完成度が高まるというジャガーの特徴をよく理解した粋人であるに違いない。
ジャガー F-ペイスSVR 車両本体価格: 14,300,000 円(税込)
- ボディサイズ | 全長 4755 X 全幅 1960 X 全高 1670 mm
- ホイールベース | 2875 mm
- 車両重量 | 2110 Kg
- エンジン | V型8気筒 スーパーチャージド
- 排気量 | 4999 cc
- 変速機 | 8速 AT
- 最高出力 | 550 ps(405 kW) / 6250 rpm
- 最大トルク | 700 N・m / 3500 rpm
- 最高速度 | 286 km/h
- 0-100 km/h | 4.0 秒
- Text : Takuo Yoshida
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