ジャガーI-ペイス。近郊のゴルフ場をロックオン

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アメリカのテスラが主導してきたピュアEVシーンだが、ここへきてヨーロッパの伝統的な自動車メーカーが次々にEVモデルをリリースしはじめたことで活気づいている。その先陣を切ったのはイギリスのジャガーだ。同社初のピュアEVであるI-ペイスはその完成度の高さによって今年のワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得している。438kmという航続距離によって近郊のゴルフ場をカバーするピュアEVは「最近欲しいクルマがない」というクルマ好きゴルファーの欲望に応えてくれる1台に違いない。

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Paragraph01 本格的に動きはじめたEVシーン

最近になってクルマとのスタンスが変わってきた。パートナーと行く週末のゴルフはすっかり習慣づいているが、本当の遠出ならエアを使うことが多いし、スポーツカーで飛ばしたいという欲望も治まっている。大勢が乗れるSUVもいらないし、2シーターをゆったり乗りこなすのはもっと歳をとってからでいいと思っている。

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これまでにない感覚でクルマ選びをしようと決めた今回、ハイブリッドやPHEVにも食指が動いたが、どうせならいよいよヨーロッパ・メーカーが本格的にリリースしはじめたピュアEVが新鮮じゃないか?というのもゴルフ場の駐車場に、EV用の充電設備があることに気づいたからだ。普段は自宅の駐車場で充電しておいて、週末のゴルフではラウンド中に充電しておけば帰りの航続距離を心配する必要はない。

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Paragraph02 438kmの航続距離

旬のピュアEVといえばジャガー初のEVであり、先ごろワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得したI-ペイスをおいて他にないだろう。背の高いSUVというより、セダンに厚みを加えたクロスオーバーといったスタイリングを持つI-ペイスは、まさにこれまでのジャガー・デザインの流れと、EVの革新性の両方を上手く取り込んでいる。

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ピュアEVで最も気になるのは航続距離だが、その点でも国土交通省の審査による最新の燃費基準であるWLTCモードで438kmとガソリン車に近い充分な航続距離を誇っている。千葉のカレドニアン・ゴルフクラブは都内から100kmほどの距離にあるので、自宅で充電しておくだけで楽々往復することが可能だ。

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Paragraph03 EVならではバランス感覚

ジャガーI-ペイスの実車は、写真で見るのとは印象が異なる。スポーティな5ドアハッチバックスタイルによって写真ではコンパクトに見えるこのクルマは案外大きい。全体のバランスも他に似ない特徴的なもので、4685mmという全長はジャガーのスモールセダンであるXE(4680mm)並みなのだが、ホイールベースは2990mmと思い切り長く、これはミドルサイズセダンのXF(2960mm)より長くフラッグシップのXJサルーン(3030mm)に迫るほど。つまり前輪より前側と後輪より後ろ側が切り詰められているかわりに、室内が広く確保されているのである。

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ゴルファーにとって肝心なリアのラゲッジスペースは奥行きがたっぷりとあり、ゲートも大きく開くので使い勝手がいい。ゴルフバッグは斜めにクロスさせることで2本積むことが可能だが、分割可倒式のシートバックの片側を倒せば3名乗車でゴルフバッグ3本という使い方もできる。またフロントボンネット下にもちょっとしたラゲッジスペースが備わるのもEVならではの特徴といえるかもしれない。

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I-ペイスはフロントとリアに出力147kW(200ps)のモーターを搭載するAWDモデルで、トータルの出力は294kW(400ps)にも達している。長いホイールベースの床下には90kWhのリチウムイオンバッテリーが敷き詰められており、438kmの航続距離に貢献している。充電はフロントフェンダー上のポートから行うことができる。普通充電用と急速充電用のポートが用意されており、充電時間は7kWの普通充電は12.9時間でバッテリーを0%から100%にでき、一方50kWの急速充電は85分で80%までバッテリーを満たすことができる。

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Paragraph04 EVジャガーは静かに飛び掛かる

ジャガーI-ペイスの初ドライブで最も感動したのは、EVならではの静けさと、圧倒的な加速の対比だった。ピュアEV というと環境に良いかわりに禁欲的な乗り物と言ったイメージもつきまとうが、これはジャガーであり、その動力性能はスポーツカーを軽く凌ぐほどのものだ。

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400psといっても、ガソリン・エンジンが最高出力を発揮するまでにはエンジン回転の上昇を待たなくてはいけないし、ターボの場合にはターボラグという待ちの時間がプラスされる。だがI-ペイスはスロットルを踏みはじめた瞬間にドンッと背中を蹴飛ばされるような加速がはじまり、もちろんシフトチェンジのような段差もないまま猛烈な加速が続く。

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一方スロットルをオフすると回生ブレーキが働いて、ブレーキペダルを踏み込むまでもなく減速できてしまう。I-ペイスはワンペダルドライブが可能。 そして驚くべきは、その加速と減速がほとんど無音の中で行われるという事実だろう。ファーストエディションに標準装備されるアクティブエアサスペンションもジャガーらしいしっとりとした路面タッチに終始している。

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Paragraph05 I-ペイスが生み出す新しくて究極のジャガー像

ジャガーI-ペイス ファーストエディションの初ドライブはカレドニアン・ゴルフクラブだった。ナビを設定すると目的地が表示されるのは当然だが、そこに64%という数字が表示されていた。I-ペイスは目的地に到着した時のバッテリーの残量を予測表示してくれるのである。そして今回、実際にカレドニアン・ゴルフクラブに到着してみるとバッテリーの残量は67%、可能走行距離は269kmと、当初の予測より多く表示されていた。

この日は暑く積極的にエアコンを使ったので、総走行可能距離は400kmを切っていたはずだが、それでもバッテリーの残量が67%もあれば少し寄り道しても問題なく自宅に戻ることができる。とはいえせっかくなのでプレーしている約7時間ほどの間、普通充電を行って万全を期すことにした。

スマホに専用のソフトをインストールしておくと、いつでも充電状況をチェックしたり、エアコンを効かせておくことができるのも最新のEVらしい便利な機能といえるだろう。

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I-ペイスの性能は全てにおいて予想以上だった。スマホとのマッチングにはじまるインフォテイメントの性能やステアリングアシスト付きのACC(アダプティブクルーズコントロール)の仕上がりは最新のジャガーと同等だが、パワフルな加速フィールと走りの静粛性は歴代ジャガーでは最高レベルと言っていい。

しかもピュアEVのネックだった航続距離も心配いらないのだから文句のつけようがない。これまでは「まだ技術的に煮詰まっていないのでは?」と思っていたピュアEVは、ジャガーというイギリスの老舗ブランドが率先して動いたことでついに質感の高い移動手段として完成しつつあるのだ。

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JAGUAR I-PACE FIRST EDITION
メーカー希望小売価格:メーカー希望小売価格:13,120,000円~(税込)

  • ※写真はオプション装着車。
  • ※表示価格にはオプションは含まれておりません。
  • ※価格には保険料、税金(消費税除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
  • ボディサイズ  | 全長4695×全幅1895×全高1565mm
  • ホイールベース | 2990mm
  • 原動機 | 147kW永久磁石同期式電動モーター×2
  • 排気量 | 4394cc
  • 最高出力 | 400ps(294kW)
  • 駆動用バッテリー | 90kWh パウチセル型リチウムイオン電池

 

  • JAGUAR I-PACE FIRST EDITIONのトピック
  • ●圧倒的な加速と、対照的な静粛性
  • ●ジャガーらしいファンtoドライブ
  • ●WLTCモード438kmの航続距離ス
  • Photo : Takahito Ochiai(Gran)
  • Text : Takuo Yoshida

お問い合わせ先

  • ジャガーコール (土・日・祝除く9:00-18:00) フリーダイヤル:0120-050-689

    www.jaguar.co.jp
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