アストンマーティン・ラゴンダは、同社初の電気自動車アストンマーティン ラピードEの最終的な生産バージョンを、上海モーターショーで世界初公開した。
アストンマーティンの電動化拠点となるセント・アサン工場で初めて生産される「ラピードE」は、世界初の電気自動車のラグジュアリーブランド「ラゴンダ」の先駆けとなる車種。
155台のみが限定生産されるこのスペシャルエディションは、「ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング(WAE)」と共同で開発された。
初公開されたラピードEのデザインは、ミドルセダン「ラピード」のエレガントなフォルムをベースに、最適な空力性能を引き出すために様々な変更が施された。
フロントエンドは、伝統的なラジエーターグリルが印象的なハニカムグリルに変更。EVパワートレインは、従来の内燃エンジンよりも冷却要件を低く設定することができるため、フロント周辺の開口部を最適化。
ボディを通過するエアフローを最小化し、車両全体の空力効率を改善している。この結果、航続距離も伸びたという。
アンダーフロアも見直され、フロントスプリッターからリヤディフューザーへと流れるエアフローを最適化。今回採用されたリヤディフューザーは、従来のエキゾーストシステムが不要になったことを受けてラピードE専用に新設計された。
足元には鍛造アルミニウム製エアロホイールのデザインが刷新され、ブレーキの冷却性能を犠牲にすることなく、より高い効率を実現。タイヤは転がり抵抗の低い専用のピレリ「P-Zero」を装着する。
これらの変更によりラピードEの空力パッケージは、以前の内燃エンジン搭載したモデルよりも8%向上している。
インテリアも、初の電気自動車にふさわしい素材(カーボンファイバー)とテクノロジーを採用。従来のアナログメーターは姿を消し、その代わりに10インチデジタルディスプレイが設置された。
バッテリーの充電状態、現在のモーター出力レベル、回生パフォーマンス、リアルタイムのエネルギー消費量といった重要な情報がインタラクティブに表示される。
今回、アストンマーティンとウィリアムズのスタッフから構成される技術チームは、バッテリーシステムと電気モーターをラピードのボディ構造に合わせて搭載する作業を集中的に行い、バッテリーとモーターの効果的な冷却方法を開発することに成功。
800Vの電動システムによって駆動するラピードEは、5600以上のリチウムイオンバッテリー(18650形式の円筒形セル)を搭載し、65kWhのバッテリー容量を備える。この専用のバッテリーパックは、従来の6.0リッターV12エンジン、ギヤボックス、燃料タンクが配置されていた場所に搭載。
バッテリーシステムは、合計で610psをわずかに上回る最高出力と、950Nmの強力なトルクを発生。リヤに搭載される2基の電気モーターに電力を供給し、LSDを介して後輪を駆動する。
ラピードEの航続距離は、新燃費基準のWLTPモードで200マイル(約322km)。一般的な400V・50kWの充電器を使用した場合、1時間あたり185マイル(約298km)のレートで充電することができる。
さらに搭載されている800Vの高電圧バッテリーシステムは、100kW以上を供給可能な800Vの充電プラグを使用することで、1時間当たり310マイル(約500km)のレートで急速充電することも可能だ。外出先で充電する場合に備えて、約3時間で充電することができる業界最先端のハイパワーAC充電器も搭載されている。
最高速度は250km/h(電子リミッター作動)で、0-100km/h加速は4.2秒、80-112km/hの中間加速はわずか1.5秒。これらのスペックはバッテリー充電量や気候条件によって制限されることはない。
さらにバッテリーやモーターの性能を低下させることなく、ニュルブルクリンクを全開走行で1周することも可能だという。 遂に電動化に舵を切ったアストンマーティンが、最初のモデルとして選んだラピードE。
5ドアセダンという利便性に加えて、EVながらも300kmを超える十分な航続距離を実現したことは、ロングドライブ必須のゴルファーにとっても朗報と言えるだろう。今回のラピードEはあくまでも155台の限定仕様。今後、「ラゴンダ」ブランドから本格的な量産EVとなる専用モデルが登場すると見られている。
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