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フランス流・未来的クーペSUVの新基準 プジョー「3008GTハイブリッド」が見せる“美と強さ”の融合

燃費がよくて、何より格好いいクルマが欲しい——。そんな声に応えるように、プジョーのミドルサイズSUV「3008」が3代目へと生まれ変わった。新型は「3008GTハイブリッド」としてデビューし、ボディ形状はクーペフォルムをまとうCセグメントSUV。価格帯やサイズ感はフォルクスワーゲン「ティグアン」に近いが、そのたたずまいはまったく別物だ。

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まず何より目を引くのが、江戸切子を思わせるようなフレームレスグリルの精緻な意匠。両側に配された3本のデイタイムランニングライトが、まるで鋭利な爪のように地面をかく。先鋭的でありながら、これまでのプジョーが積み上げてきたデザインの延長線にある。過剰ではないのに強く印象を残すあたり、フランス車の真骨頂といえるだろう。

エッジの効いたフォルムと呼応するように、インテリアもドラマチックだ。小径ステアリングの上から視認する独自の「i-コクピット」は、21インチのワイドディスプレイへと進化。新たに“パノラミックi-コクピット”と呼ばれるこの装備が、空間全体に未来的なムードを与える。さらにセンターコンソールとドア内張りがドライバーを包み込む構造は、まるで戦闘機のコクピットのような没入感がある。

運転席に収まり、セミバケットのシートに身を預けてスタートボタンを押すと、メーターがふわりと点灯し、モーターが静かに目を覚ます。ドライブモードに入れてスロットルを踏み込むと、エンジンとモーターが連携して違和感なく発進。MHEV(マイルドハイブリッド)システムは30km/h以下の低速域でEV走行が可能で、市街地では約半分の時間をモーターだけでまかなうという。ただし真夏の試乗ではエアコンの負荷もあり、エンジンが頻繁に稼働していたのはやむを得ない。

それでも驚いたのはその走行フィールだ。1.2リッター、3気筒ターボエンジンとモーターの組み合わせは、スペック上は136ps+21psと控えめに見えるが、トルク感は十分。スロットルを深く踏み込めば滑らかに、しかし力強く加速してくれる。6速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)の変速は極めてスムーズで、ドライブ中は一度もギクシャクすることがなかった。

そして、新開発の「STLA Medium(ステラ・ミディアム)」を初採用したプラットフォームの完成度が高い。太いAピラーや分厚いサイドシルが示すように、ボディ剛性は驚くほど高く、それがしなやかな足まわりをしっかりと支える。しっとりと路面をいなすサスペンションの味つけはまさに“フレンチタッチ”。過剰な演出はないが、走るたびにじわじわと信頼感が高まっていく。

高速クルージング中もステアリングはしっかりと座り、乗員を不安にさせることがない。ロングドライブにも安心して連れ出せるパートナーと感じた。

縦長に設計されたラゲッジスペースの実用性も高く、日常使いから週末の小旅行まで幅広く応えてくれるだろう。斬新なエクステリアに惹かれて購入しても、乗ればその質感と実力にもっと惚れ込む──そんなフランス車らしい“裏切り”を秘めた、稀有なSUVである。

プジョー3008GT ハイブリッド アルカンタラパッケージ  車両本体価格: 558万円(税込)

    • ボディサイズ | 全長 4565 X 全幅 1895 X 全高 1665 mm
    • ホイールベース | 2730 mm
    • 車両重量 | 1620 kg
    • 排気量 | 1199 cc
    • エンジン | 直列3気筒ターボ + 48V MHEV
    • 最高出力 | 136 ps(エンジン)/ 21 ps(モーター)
    • 最大トルク | 230 N・m(エンジン)
    • 変速機 | 6速 DCT

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Text : Takuo Yoshida

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