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小さなレクサス、大きな完成度 「LBX リラックス」という選択

プレミアムカーと聞いて、ある程度大きなボディを思い浮かべる人は多いだろう。だが、交通量の多い都市部で日常的に乗るなら、扱いやすいコンパクトなサイズこそ真の価値を発揮する。レクサスが2023年に投入した「LBX」は、そんな都市生活にフィットするブランド最小のクロスオーバー。だがその実力は“ミニ”という言葉では語りきれない。

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全長4190mm、いわゆるBセグメントに属するサイズ感ながら、ひと目見て感じるのはその存在感。スピンドルグリルの進化形である「ユニファイドスピンドル」を採用したフロントフェイスは、左右のヘッドランプが弓のように繋がり、引き締まったシャープさを演出している。ボディサイドには波打つような抑揚があり、日本車にありがちな寸法主義を軽々と超える表情が印象的だ。

パワートレインは1.5リッター直列3気筒エンジンにハイブリッドシステムを組み合わせたもの。最高出力91psのエンジンに対し、モーターは94ps。あくまで電気が主、ガソリンが従という印象だ。今回試乗したのは“リラックス”というグレード名を持つFF(前輪駆動)モデル。AWD(全輪駆動)仕様も用意されている。

ドアを開けて乗り込むと、目の前に広がるのはサイズを超えた上質な空間。セミアニリンレザーとバックスキン調のコンビネーションがシートにあしらわれ、ステアリングや各部の仕立ても抜かりない。室内は確かにミニマムだが、タイトな感覚がむしろスポーツカーのような一体感を生み出している。

ダッシュ中央には9.8インチのモニターが据えられ、スイッチ類も整然と配置。POWERボタンを押すとシステムが静かに起動し、アクセルを軽く踏み込むとモーターが滑るようにクルマを動かしはじめる。その静けさは、もはやエンジン車では味わえないレベルだ。

そして驚かされるのは、そこから先の走り。アクセルに対するレスポンスはキレがあり、動きが軽快。低速から中速、そしてワインディングまで、コンパクトなボディと引き締まった足回りが心地よい一体感を生む。ステアリングフィールはカチッとしていて、山道では欧州車を操るような錯覚すら覚える。見た目はクロスオーバーSUVだが、車高は意外に低め。そのため走りの重心も低く、まるでスポーツカーのオルタナティブに思えるほど。すべてにおいてバランスが取れており、ただの“プレミアムコンパクト”には収まらない懐の深さがある。

リアシートの足元はフロントに比べれば限られるし、荷室もFFモデルではキャディバック2本を積むにはシートを倒す必要がある。それでも、多くの人がこのサイズ感の中で十分な価値を見出すはずだ。質感と使い勝手、その両立こそがLBXの本質である。

しかも、充実した先進運転支援システム(ADAS)も備えることで、長距離や渋滞でも安心。セカンドカーという枠を超え、日々の移動を心地よく、時には感性を刺激する“相棒”としての資質がある。

プレミアムカーに求めるものは何か? このLBXに乗ってみれば、ボディサイズにとらわれない本質的な完成度に気づくはずだ。毎日のドライブが楽しみになる――そんな気の利いた一台が、すぐそばにある。

レクサス LBX “リラックス”(FFモデル)  車両本体価格: 460万円~(税込)

    • ボディサイズ | 全長 4190 X 全幅 1825 X 全高 1545 mm
    • ホイールベース | 2580 mm
    • 車両重量 | 1320 kg
    • 排気量 | 1991 cc
    • エンジン | 直列3気筒+モーター(ハイブリッド)
    • 最高出力 | 91 PS(69 kW)
    • 最大トルク | 120 N・m
    • モーター最高出力 | 94 PS(69 kW)
    • モーター最大トルク | 185 N・m

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Text : Takuo Yoshida

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