
ドライビングが好きなら、お目当てのスポーツカーがあるはず。格式を重んじるなら、フルサイズのセダンがやっぱりベストだろう。でも、いっそのこと「クルマの頂点、いってみる?」となったら、どんな選択肢があるのか。 ロールス・ロイス、フェラーリ、ブガッティ、ベントレーから、知る人ぞ知る頂上ブランドまで選択肢はいくつもあるが、今ならメルセデス・マイバッハ「EQS680 SUV」を推したい。
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理由はいくつかある。まず、ブランドとしての格が申し分ない。かつて世界的に有名な飛行船“ツェッペリン号”に搭載されたV12エンジンも、エンジニアだったウィルヘルム・マイバッハの作品だ。現在はメルセデス・ベンツ傘下の最高級ブランドとして確立され、その頂点に立つSUVがEQS680 SUV。しかもBEV(電気自動車)として最先端の技術を惜しみなく注ぎ込んだモデルでもある。

現時点でBEVは、日本では想定したほど普及していないかもしれない。しかし、低回転から力強く、静かで滑らかな走行フィールは、内燃機関を凌駕する部分が多い。特に超高級車とは相性がいい。高級な質感はマイバッハの本質であり、その脇を固めるのは、最新のADAS(先進運転支援システム)を含む現行メルセデスの骨格とシステムだ。つまり、おおよそケチのつけようがない完成形。試乗前から、その事実はひしひしと伝わってきた。

EQS680 SUVのベースは、「EQS450 4MATIC」である。ボディサイズこそ同じだが、車重はマイバッハの方が150kgほど重い。これは、内外装の上質な仕立てによるもの。2トーンの塗装が施されたエクステリアは、ひと目で特別なモデルだと分かる。BEVなので大きなラジエーターグリルは不要だが、グリル風の壮観なパネルがエレガントな存在感を放つ。そして、内装の雰囲気はそれ以上だ。

コクピットには、メルセデスEQシリーズのアイコンであるMBUXハイパースクリーンが鎮座し、周囲をオプションの上質なナッパレザーが包む。さらに、このクルマの真価が発揮されるのはリアシートだ。

試乗車に装備されていた「ファーストクラスパッケージ」は航空機のファーストクラスを彷彿とさせる左右独立のリアシートで、乗車定員は4名に限定。ゆったりとした角度に調整できるリクライニング機能のほか、オットマンがせり出し、シート間にはシャンパン用の冷蔵庫とグラスホルダーが備え付けられている。この環境でゴルフ帰りに祝杯をあげるというのも、マイバッハのオーナーならではの特権だろう。

試乗時、驚かされたのはその静粛性と快適性だった。舗装の荒れた路面を走行しても、エアサスペンションが巧みに衝撃を吸収し、キャビン内にほとんど振動が伝わらない。さらに、低速から湧き上がる955N・mのトルクが、約3トンの車体を滑るように加速させる。658psの最高出力を全解放する機会はほぼないが、必要なときに余裕をもって力を引き出せる感覚が心地よい。

このクルマに乗るなら、王侯貴族を気取るべきだ。快適なシートに身を預け、ゆったりとしたペースで目的地へと向かう。メルセデス・マイバッハのような世界の頂点に位置する一台を愛車にするメリットは、移動時間を極上のものへと変えることにある。渋滞など外的要因に左右されることなく、常に豊かな移動体験を提供する。クルマの枠を超えた上質な空間、それこそがEQS680 SUVの存在意義なのだ。

メルセデス・マイバッハ EQS680 SUV 車両本体価格: 2790万円(税込)
- ボディサイズ | 全長 5135 X 全幅 2035 X 全高 1725 mm
- ホイールベース | 3210 mm
- 車両重量 | 3050 kg
- システム最高出力 | 658 PS(484 kW)
- モーター最大トルク | 955 N・m
- 一充電走行距離 | 610 km(WLTCモード)
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Text : Takuo Yoshida








