お洒落な見た目と極上の乗り心地 シトロエン「C5X HYPNOS プラグインハイブリッド」

昔から個性派として知られるシトロエンだが、現在のラインアップはコンパクトハッチの「C3」に始まり、「C4」「C5」「ベルランゴ」「エアクロス」など全9種。決して多くはないが、BEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド)など現代の自動車ブランドらしいバラエティ豊かな陣容となっている。

<関連記事>セダンでもSUVでもない、このカタチが正解か? プジョー「408 GTハイブリッド」

今回紹介する「C5X」も一風変わっている。クロスオーバーとも、シューティングブレーク(クーペスタイルに広い荷室を備えたもの)ともつかないスタイリングが特徴だ。ラインアップの中で最も全長のあるフラッグシップモデルのパワートレーンは、180psの最高出力を発揮する1.6リッター、ガソリンターボエンジンと、エンジン+モーターで構成される225psのプラグインハイブリッドの2種類が用意されている。どちらも前輪駆動だ。

試乗したのは「C5X HYPNOS(ヒプノス)プラグインハイブリッド」。車名に含まれる“HYPNOS”はギリシャ神話に登場する眠りの神に由来する。専用カラーリングと内装で、寛ぎを極めた特別仕様車だ。フラッグシップモデルというと大きなボディを想像するが、全長は4805ミリ。ドイツ車に当てはめると、メルセデスベンツ「Cクラス」よりわずかに長い。リフトアップされた車高と十分な容量のある荷室は、日本の道路で使用するにはジャストサイズといえるだろう。

明るい色の内装材が使用された室内は一目で高級車と分かる質感。シートの座り心地は現代の基準よりも柔らかく、フランス車の伝統を感じさせてくれる。操作系ボタンがモニター内に収められているクルマも少なくないが、エアコンはスイッチで操作するなど、程よくモダナイズされている。

発進はプラグインハイブリッドらしく静かで、速度が乗ったところでエンジンが滑らかに介入する。だが、そんなパワートレーンのマナーよりも驚かされたのは乗り心地だった。今どき珍しいほど長い(ショックアブソーバーの)ストロークがあり、サスペンションが滑らかに路面をとらえている感じが伝わる。

路面の衝撃を吸収し、フワッとした動きを伴う柔らかな乗り心地は、サスペンションを硬めにして、路面からの振動を速やかに収束させようとするドイツ車のそれとは対照的といえる。目的地になるべく早く到着することを「是」とするクルマに対し、背もたれを少しだけ寝かせて楽なドライビングポジションを取りつつ、ストレスなく目的地に着くイメージだ。

ワゴンタイプの荷室は、ゴルフバッグを横方向にクロスさせて収納でき、リアのシートバックを倒してアレンジすることもできる。また、自宅で充電することによって65km(WLTCモード)のEV走行も可能だ。デザインは個性的でお洒落。性能面も本当に必要な部分はしっかりとフォーカスされており、分別をわきまえたオトナの選択肢に加えたい。

シトロエンC5X HYPNOS プラグインハイブリッド  車両本体価格: 682万円(税込)

    • ボディサイズ | 全長 4805 X 全幅 1865 X 全高 1490 mm
    • ホイールベース | 2785 mm
    • 車両重量 | 1790 kg
    • エンジン | 直列4気筒 DOHCターボ + モーター
    • 排気量 | 1598 cc
    • 最高出力 | 180 ps(132 kW) / 6000 rpm
    • 最大トルク | 250 N・m / 1750 rpm
    • モーター最高出力 | 45 ps(81 kW)
    • モーター最大トルク | 320 N・m
    • 変速機 | 8速 AT
    • バッテリー容量 | 12.4 kwh
    • 一充電走行距離 | 66 km(WLTCモード)

お問い合わせ先

Text : Takuo Yoshida

閉じる