100年を超える歴史と伝統ある時計ブランドには、ひと目でそのブランドと分かる「アイコンモデル」がいくつかある。エベラールの「クロノ4」がその一つで、他の時計ブランドにはない唯一無二のデザインと機能で知られる機械式クロノグラフだ。今回はその魅力を紹介する。
<関連記事>“時計界のアカデミー賞”に輝いたネオヴィンテージ レイモンド・ウェイル「ミレジム」
エベラールは1887年、 “スイス高級時計の聖地”として知られるラ・ショー・ド・フォンで創業した。同社にとってクロノグラフは、もっとも重要なアイテムの一つとされている。なぜなら創業者のジョルジュ・ルシアン・エベラールが発表した懐中時計型のクロノグラフが、1930年代にイタリア海軍将校の公式時計として採用されたことをきっかけに、今日までイタリアで圧倒的な知名度と人気を得てきたからだ。
同社を代表するアイコンモデルに「タツィオ・ヌヴォラーリ」コレクションがある。ヌヴォラーリは第二次世界大戦前、イタリアを代表する伝説のレーシングライダー&ドライバーで、モータースポーツ史に名を残す偉大な存在の一人だった。文字盤に彼のトレードマークが描かれたモデルだ。
そしてもう一つ、その名を世界中の時計愛好家に印象付けたアイコンモデルが2001年に発表された「クロノ4」コレクションだ。腕時計では初めて、文字盤下部に4つのインカウンター(左から30分積算計、12時間積算計、24時間計、スモールセコンド)を備えている。
一般的な3インダイヤルクロノグラフは、カウンター(積算計)が文字盤12時位置、6時位置、9時位置に分散配置されるため視線移動が多く、ひと目で読み取ることが難しい。だが「クロノ4」は視線を横移動させるだけで、すべての表示データが容易に把握できる。また、クラシックカー、ヴィンテージカーのメーターパネルに通じるデザインテイストも見逃せない。
この開発を推進した当時のCEO(最高経営責任者)であるパルミロ・モンティは、カウンターを「より論理的かつ直感的に」読み取ることにこだわって国際特許と意匠登録を取得。世に送り出した。
誕生から20年周年を迎えた2021年には、ケースサイズを直径40㎜から42㎜にサイズアップした「21-42」へとリニューアル。4つのインダイヤルにスネイル装飾を施すなど、ディテールの造り込みでクオリティも向上し、マニアも絶賛する唯一無二のクロノグラフとして輝き続けている。
文字盤はヴィンテージ感漂う「クル・ド・パリ」と、シンプルな「ソレイユ」の2タイプ。どちらもアリゲーター、ラバーのストラップ、SSブレスレットと選択肢も豊富だ。ありきたりのクロノグラフでは物足りないという方にぜひオススメしたい。
EBERHARD / エベラール
クロノ4 21-42(クル・ド・パリ文字盤) 139.81万円(税込)
- SPEC
-
- ケースサイズ:42㎜
- SSケース、自動巻き、パワーリザーブ約42時間、ラバーストラップ、50m防水
お問い合わせ先
- ジーエムインターナショナル TEL:03-5828-9080
Text : Yasuhito Shibuya