クセのないドライブフィールに進化 アウディ「Q8 スポーツバック55 e-tronクワトロ Sライン」

アウディ初のフルEVモデル「e-tron」が、モデルライフ半ばにマイナーチェンジし、車名の先頭に「Q8」の文字が追加された。2018年にデビューして以降、アウディのBEV(電気自動車)のラインアップは順調に増えており、現在は10車種にのぼる。同社は2025年、最終の内燃エンジン搭載車を送り出したあとBEV専業メーカーになることを発表している。

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ボディタイプはワゴンタイプとスポーツバックの2種類。グレードについては出力等の違いにより、ワゴンタイプは「50」と「55」(Q8 50 e-tron クワトロ Sライン/Q8 55 e-tron クワトロ Sライン)、スポーツバックは「55」(Q8スポーツバック55 e-tron クワトロ Sライン)という名称だ。

今回のマイナーチェンジでは外観とパワートレーンを変更した。フォーシルバーリングス(エンブレム)を含めたフロントグリルは、従来の格子状から、黒いパネルの中に6角の孔(あな)が開いたデザインを採用。パワートレーンはバッテリーの容量アップに加え、内部の密度と効率が高められ、一充電走行距離は「50」で424km、「55」で501km(WLTCモード)まで伸びている。また充電性能も見直された。これまでのe-tronでは最大50kWhまでの急速充電にしか対応できなかったが、「Q8 e-tron」では150wWhまで可能。走行距離は伸びたことに加え、充電時間は短くなった。

今回試乗したのはQ8スポーツバック55 e-tron クアトロ Sライン。試乗前に、フロントの足回りのブッシュがより剛性の高いものに変更されたことと、ステアリングのギア比がクイックになっている、という説明を受けた。実際に運転してみて感銘を受けたのは、これらの説明以上に、全体的な走りの印象がより自然なものになったという点だった。

4年ほど前、先代e-tronがデビューした頃は、床下にバッテリーがレイアウトされたことによって車両の低重心化が図られ、フラットなコーナリング性能が際立つドライブフィールだった。メリットのようにも聞こえるが、物理的にそうならざるを得なかったという部分もあっただろう。だが新型は床下に収められた700kgものバッテリー重量をほとんど感じさせない、より自然なドライブフィールに変化していたのだ。

BEVの1.0(第一段階)が、床下バッテリーの重さを強調したものだとすれば、新型の2.0(第二段階)は「よりクセのないすっきりとしたドライブフィール」へと進化を果たしたといえる。またコクピットの操作系もごく自然で、アウディの内燃機モデルのオーナーがドライブしても直感的に扱える、という先代からの特徴はしっかりと受け継がれているように感じた。

アウディ Q8スポーツバック55 e-tron クワトロ Sライン  車両本体価格: 1317万円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 4915 X 全幅 1935 X 全高 1620 mm
  • ホイールベース | 2930 mm
  • 車両重量 | 2610 kg
  • システム最高出力 | 408ps(300kW)
  • システム最大トルク | 664Nm
  • バッテリー容量 | 114kWh/li>
  • 一充電走行距離 | 501㎞(WLTCモード)

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Text : Takuo Yoshida

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