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ロータス最後のエンジンを味わい尽くす「エミーラ V6 ファーストエディション」

ブリティッシュスポーツカーの老舗、ロータスの最新の話題といえばクロスオーバーBEV(電気自動車)の「エレトレ」のデビューだろう。他のスポーツカー専業メーカーと同じく、クロスオーバーSUVの分野に進出するだけでなく、いきなり100%の電気自動車をリリースしてきたあたりに、技術的なシンクタンクとしての顔もあるロータスらしさが感じられる。

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現在のラインアップのなかで、最も現実的で、唯一無二の選択肢はミッドシップ2シーターのライトウェイトスポーツカー「エミーラ」ではないだろうか。2021年、自社にとって最後のガソリンエンジン車と宣言してリリースされたモデルで、90年代半ばに登場した「エリーゼ」から受け継がれてきたアルミニウム接着のモノコックシャシーが採用されている。

車体の中央に搭載されたエンジンは、スーパーチャージャーを追加して405psの最高出力を発生させるトヨタ製3.0リッターV6と、メルセデスAMGから供給される365psの2.0リッター直列4気筒ターボの2種類。興味深いのは、V6には6速マニュアルギアボックス、直4には8速DCT(デュアルクラッチAT)が組み合わされるという点だ。

今回試乗したのは、日本市場に最初に導入されたV6エンジンのファーストエディション。ミッドシップ2シーターのスポーツカーで、4気筒と6気筒エンジンをラインアップしているポルシェ「718ケイマン」と「ボクスター」がエミーラのライバル車だといえば、このクルマのポジショニングを理解しやすいだろう。同一レイアウトであり、寸法も非常に似通っている。

ロータスが作るスポーツカーの最大の特徴は、車体の軽さを活かした鋭いハンドリングだ。ステアリングを切り込んでいくと車体が生き生きと反応し、狙った通りのラインでコーナーをトレースする。この点は、安定感を第一に考えるポルシェとは異なるフィーリングといえる。

もうひとつは、鋭いハンドリングとは対照的ともいえるラグジュアリーな乗り心地だ。ロータス最大のヒット作でありながら、惜しまれつつも2021年で生産を終えたエリーゼは、快適性を削ってでも鋭いハンドリングに注力したモデルだった。だがエミーラは、鋭いハンドリングと質感の高いインテリア、そしてロングドライブを可能にする快適性を兼ね備えていた。

エンジンの吹け上がりも、このクルマの魅力を倍増させているポイントで、スロットル操作に対する反応が非常に鋭く、高回転域まで淀みなく回り、6速マニュアルのギアボックスとも相性がいい。ドライバーとガソリンエンジンの対話、純粋なスポーツドライビングの楽しさという点でも指折りの一台といえるだろう。

リアのラゲッジスペースは決して大きくなく、キャディバッグは助手席に一本積載できる程度なので、ゴルファーにとっては決して実用的とはいえないかもしれない。それでも、刺激的なガソリンエンジンをマニュアルギアボックスで操る楽しみに、心を打たれないクルマ好きはいないはずだ。

ロータス エミーラV6ファーストエディション   車両本体価格: 1573万円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 4413 X 全幅 1896 X 全高 1235 mm
  • ホイールベース | 2570 mm
  • 車両重量 | 1493 kg
  • エンジン | V型6気筒 スーパーチャージャー
  • 排気量 | 3456 cc
  • 変速機 | 6速MT
  • 最高出力 | 405 ps(298 kW) / 6800 rpm
  • 最大トルク | 420 N・m / 2700 - 6700 rpm

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Text : Takuo Yoshida

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