EV最前線。ドイツ・ブランドに見る電気自動車の未来

2008年にアメリカのテスラモーターズが同社にとっての初めての製品であるテスラ・ロードスターをリリースした時、既存の自動車メーカーの多くはすでにEVの先行開発に着手していたにも拘らず静観の構えを見せていた。だがディーゼル人気の失速も手伝って時代は急速にシフトし、現在では世界中のメーカーがEV主体の未来予想図を高らかに掲げている。中でも現実的に動き出したメルセデス・ベンツとポルシェのビジョンは興味深い。

メルセデス、ポルシェもいよいよEVへ本格参入

業界ではよく知られた事実だが、新型車の開発にあたって自動車メーカーは他社の製品を購入して自社のテストコースに持ち込んで性能をチェックしている。

特に指標となるのはドイツ・メーカーのそれであり、中でもクオリティ面はメルセデス、スポーツカーの動的性能はポルシェを範とする場合が多い。

結局のところ、伝統に裏打ちされたドイツの2大メイクスが、第二次大戦後のプロダクションカーのトレンドを作り上げてきたと言っても過言ではないのである。

メルセデスとポルシェのみならず、ドイツ・メーカーに纏わる最新トピックと言えば、電気自動車、いわゆるEV関連でほぼほぼ埋め尽くされている。つまりいよいよ、EVの流れがメインストリームに躍り出ようとしているのである。

メルセデスとポルシェはともにEVの先行開発の成果をハイブリッドモデルとして製品化してきた。

メルセデスは2009年に初のハイブリッドモデルであるS400ハイブリッドをリリースし、以降ハイブリッドSクラスは定番となっていく。ボディが大きくスペース的に余裕があるSクラスセダンは格好のテストベッドとなったのである。

中でもディーゼル機関とモーターシステムを合わせたディーゼルハイブリッドは省燃費性能に優れ、同社のハイブリッドの核となっている。

一方ポルシェは2代目カイエンにハイブリッドモデルをラインナップして以降、スポーツカー・メーカーらしいプロパガンダを打ち上げている。

レーシングカーの919ハイブリッドでル・マンを制し、ハイブリッドスーパースポーツの918では前輪を2個のモーターのみで駆動し、後輪はガソリン・エンジンとモーターのハイブリッドで駆動するという独自のシステムで究極のかたちを提示しているのである。

自動運転技術が盛り込まれた、EVの未来像

メルセデス・ベンツのEVへのコミットが本格的であるという根拠はEVに特化したブランド、EQを立ち上げたことからも伺える。これは先にEV専業のBMW iを立ち上げたBMWに対抗するかたちになるのだが、相手の出方を十分に観察してから動き出すあたりに王者のスタンスが窺える。

EQの名前が初めて世に出たのは2016年のパリサロンで、メルセデスはこの時ジェネレーションEQコンセプトと名付けたSUVを展示している。2個のモーターと大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載し、航続距離を500km以上としたこのコンセプトカーはピュアEVと言うだけに留まらず、自動運転をはじめとする未来像が込められていた。

実際にEQが製品化されるのは来年の後半であると言われており、現実的なデビューは2020年になると言われている。

だがEVの需要が4割を越えるEV先進国であるノルウェーではすでにEQの先行予約も開始され好評だという。

自動車世界の巨頭が満を持してリリースするEVだけに、流行に敏感なファンの期待の大きさは相当なものといえるだろう。そんなメルセデスEQはついに、今年3月に開催されるジュネーブモーターショーでEQ初の市販車を公開すると宣言している。

おそらくミディアムサイズのSUVであるEQコンセプトを現実的なかたちに落とし込んだものになるはずだが、メルセデス初の生産型ピュアEVの実像に世界が注目しているのことは間違いない事実である。

異なるアプローチでEVを牽引する、ポルシェ

「BMW i」で先陣を切ったBMW。「EQ」を立ち上げたメルセデス、「I.D.」で様々なバリエーションを提示しているフォルクスワーゲン、「e-tron」で市場に打って出るアウディといった爆発的なモデル展開を匂わせる総合自動車メーカーのライバルに比べれば、スポーツカーを原点とするポルシェのアプローチは個性的といえる。

ミッションEと呼ばれる4ドア4シーターのピュアEVを2015年に発表した後はブレることなく開発を進めており、最近では開発車輛が実際にニュルブルクリンク・サーキットを周回しているスパイショットも多数出回っている。

現状のミッションEは919ハイブリッドの技術を応用した600psに相当するモーターにより4輪を駆動するパワートレーン以外に、充電時間を大幅に短縮したバッテリーシステムも技術的な核となっており、ポルシェの名に恥じない高性能が約束されているようだ。

話題作りは最小限にしていきなりポテンシャルで勝負を挑もうというスタンスが、何よりガソリン・エンジンに心酔してきた既存のポルシェ・ファンの心にもしっかりと響くはず。ポルシェ初のピュアEVのデビューは、メルセデスEQと同じく2020年と発表されている。

ドイツ・メーカーによるEV攻勢が一気にはじまり、EVの時代が今まさにはじまろうとしている昨今だが、現状におけるピュアEVシーンを実質的に牽引しているのはアメリカのテスラに他ならない。

EV専業のベンチャーとして2003年にスタートを切った彼らは、ガソリン車に軸足を置く全ての既存自動車メーカーに監視されながらも着実に自らの歩みを進め、現在ではドイツ・メーカーからライバルの筆頭として指名されるまでに成長している。テスラが新たに築きあげた基盤と長らく自動車技術を牽引してきたドイツ勢のアプローチ、風雲急を告げるEVシーンから目が離せないのである。

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