ライバル勢の脅威になりうる理由 ジープ「グランドチェロキーLサミットリザーブ」

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ジープブランドの最上級モデルである「グランドチェロキー」がフルモデルチェンジを遂げた。「ラングラー」は初代ウィリスジープの血統を受け継ぐイメージリーダー的存在である一方で、グランドチェロキーはプレミアム感を前面に押し出すフラッグシップモデルに位置づけられる。

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日本では、ベースグレードの「グランドチェロキーLリミテッド」と、今回試乗する上級モデル「グランドチェロキーLサミットリザーブ」の2車種で展開。両者の違いは様々あり、インテリアの質感や装備、ADAS(先進運転支援システム)等の機能のほか、機構的な部分ではサスペンションがエアサスか否かなどが挙げられる。

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5代目となる日本導入モデルにいえるのは、「戦えるスペックの持ち主」ということ。以前のアメリカ車は、ヨーロッパや日本のライバルとは絡むことがない、独特の雰囲気に重きが偏る節があった。だが、グランドチェロキーは先代あたりからクルマ作りが緻密になり、今回も質感をグッと高めてきている。新型の2モデルを見る限り、日本市場でライバルと戦うための仕様選びも念入りになされているようだ。

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選択の中で最も印象的なのは、ロングホイールベースモデルに絞っている点だろう。グランドチェロキーでは初となる、実用性が高い3列目シートが実装された。もうひとつは3.6リッターのV6自然吸気エンジンと8速ATを組み合わせたパワートレーンだ。

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以前のアメリカ車のイメージからすれば排気量は小さめだが、先代のグランドチェロキーでも必要にして十分な性能を発揮していたパワートレーンを継続使用することで信頼性を確保し、コストを抑えている点にも手堅い選択を垣間みることができる。

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今回の試乗車であるサミットリザーブは、いかにもグランドチェロキーらしい威厳のある顔つきと大きな車体が、十分な存在感を放っている。シート配列は2人掛け×3列の6人乗りで、2列目が独立したキャプテンシートになっている点がベースグレードのリミテッドと異なる。

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通常はシートの間を通路にして3列目にアクセスすることが多いが、2列目の高級感に重きを置いたサミットリザーブは、ひじ掛けを備えたセンターコンソールで中央を仕切っている。 一方の3列目シートは2人が肩を寄せ合う配置だが、座面の広さも足元スペースも十分な広さが確保されている。

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4人でゴルフコースに向かう場合は、3列目シートを床下に収納し、ラゲッジスペースを広く使うスタイルをお薦めしたい。 4人分のキャディバッグの積み方に頭を悩ませることなく、しかも全員がゆったり移動できる。

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これこそ全長5mオーバーのフルサイズSUVで得られる最大のメリットだ。ボディや骨格が完全に刷新されたことで、エアサスとのマッチングも良好。乗り心地はフワッとして柔らかいのだが、コーナリングで変にぐらついたりすることがないので安心感が高い。

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V6エンジンは突出したパワーがあるわけではないが、ATとのマッチングがよいので街中でも高速道路でも特にパワー不足は感じない。ACC(アダプティブクルーズコントロール)はステアリング上のスイッチで直感的に扱うことができ、車線維持機能に関しても安心して使えるレベルに仕上がっていた。これなら渋滞にハマッてしまってもストレスフリーなドライブが楽しめる。

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最新のフルサイズSUVとして十分な装備を整えたこのクルマのトピックは、最上位モデルの車両価格が税込999万円という点にもある。同じエアサス+3列目シートのライバル車と比べると、それが驚きの数字であることがわかるだろう。

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北米大陸で覇権を争うレクサス「LX600」は1250万円~、メルセデス・ベンツ「GLS」は1318万円~、BMW「X7」は1263万円~、ランドローバー「レンジローバー」は1638万円~。ボルボ「XC90」は834万円~と一見リーズナブルだが、エアサスはオプション扱いとなっている。

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アメリカ車らしい存在感のあるボディと広大な室内空間に、先進機能が加わったジープのフラッグシップモデル、新型グランドチェロキー。これまでアメリカ車を選択肢に入れていなかった人でも、実車に触れてみる価値は十分にあるはずだ。

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ジープ グランドチェロキーLサミットリザーブ   車両本体価格: 9,990,000 円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 5200 X 全幅 1980 X 全高 1795 mm
  • ホイールベース | 3090 mm
  • 車両重量 | 2250 Kg
  • エンジン | V6気筒 ガソリン 自然吸気 (N / A)
  • 排気量 | 2994 cc
  • 変速機 | 8速 AT
  • 最高出力 | 286 ps(210 kW) / 6400 rpm
  • 最大トルク | 344 N・m / 4000 rpm
  • 最高速度 | 254 km/h
  • 0-100 km/h | 5.5 秒

 

    • Text : Takuo Yoshida

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