レクサスの新型「LX」が2021年10月にオンライン会見で発表された。実車が初公開された場所はサウジアラビアとアラブ首長国連邦。地理的にも経済的にも需要が高く見込まれているのだろう。キングオブSUVらしい新登場の地という印象があった。
レクサスのフラッグシップSUVであるLXの日本での発売は、2022年初頭を予定している。
新型のスタイリングで最もインパクトが強かったのは、フローティングバーと呼ばれる7本の太い水平ラインが走るスピンドルグリルだ。そのサイズ感とアイコニックな意匠により、一目でLXだとわかる。
先代と同じように、今回のLXも基本設計はトヨタの「ランドクルーザー」と共通となっている。このためフロントマスクこそはっきりと差別化されているが、横方向からのスタイリングは今年はじめにデビューしたランドクルーザーのそれによく似ている。
ランドクルーザーがそうであったように、新型LXの中身も完全に新しくなっている。伝統のラダーフレーム(頑丈な鋼の2本のレールを左右に置いてはしご状にしたフレーム)という形式は継続されているが、プラットフォームは新開発のGA-Fが用いられる。エンジンも変更されており、先代の5.7リッターのV8から、3.5リッターのV6ツインターボへとダウンサイジングされている。
スタイリング以上に注目したいのは、明るい色の革を使ったインテリアだ。今回は7人乗り3列シート仕様の他、4人掛け2列シートのEXECUTIVE(エグゼクティブ)というグレードが用意される。先代にあった5人乗りモデルを独立したシートによる4人乗りモデルへグレードアップしており、新型LXはレクサスらしくよりラグジュアリーな方向に進化したと考えていいだろう。
かつてプレミアムなフルサイズSUVは「レンジローバー」の独壇場だった。ところが昨今は「ロールス・ロイス」や「ベントレー」、そして「メルセデス・マイバッハ」までもがこのカテゴリーに参入。価格帯が違っても、新型LXのライバルとなるのは、SUV界の頂点に君臨する面々である。だとすれば、リクライニング機構をはじめとするリムジンクラスのリアシートの存在が欠かせないということだろう。
LXの変化はプレミアム感だけではなさそうだ。ボディパネルに積極的にアルミを使用し、またエンジン搭載位置を下げるなど、これまで以上にオンロードの走りを意識して作り込まれた形跡がある。兄弟車の新型ランドクルーザーにGR(トヨタのスポーティブランド、ガズーレーシング)仕様が用意されることも考えれば、LXが優れた運動性能の持ち主であることもうかがえる。
これまであまり目立たなかったLXが、SUVブームとともにブランドを代表する一台に躍り出る--。力の入った発表会と発表内容に、そんな可能性すら感じている。
- Text : Takuo Yoshida
お問い合わせ先
-
レクサスインフォメーションデスクフリーダイヤル:0800-500-5577
lexus.jp