「最近、何かいいクルマはありませんか?」と尋ねられる機会が多い。いまだったら、迷わず「メルセデス・ベンツの新型『Cクラス』」と答えるだろう。「C200アバンギャルド」の試乗感とともに、新型Cクラスが良いクルマの条件をすべて備えていると感じた理由について説明したい。
では、何をもって良いクルマとするのか? 4ドアセダンであれば、デザインとパッケージング(室内の広さ)が両立していることが大事になる。鋭利なラインや複雑な面を使わずに、シンプルな格好よさを追求したCクラスは、精悍でクールなデザインだ。しかも、従来型よりホイールベースを25mm延長したことで後席のヒザまわりのスペースが広くなり、頭上空間にも余裕があるから、居住性もいい。デザインとパッケージングが高次元で両立している。
資料をみると、状況に応じて後輪を操舵する「リア・アクスルステアリング」(オプション)を装着していた試乗車の最小回転半径はわずか5m。非装着車でも5.2mと、ホイールベースが長くなっているのに従来型(5.3m)よりも小回り性能が向上している。地味な改善点であるけれど、実際に使う身になれば、その恩恵は大きい。
良いクルマの条件には、パワートレインが占める割合も大きい。 試乗車は、新開発の1.5リッター直列4気筒ガソリンターボエンジンに48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた仕様。1.5リッターでちゃんと走るのか、という疑問の声が聞こえてきそうだが、これがよく走る。マイルドハイブリッドだからモーターだけで走るEV走行はできないけれど、エンジンとトランスミッションの間に位置するISG(インテグレート・スターター・ジェネレーター)が要所要所でモーターとして働き、エンジンを補助する。
たとえば発進加速や、加速が必要な場面でエンジンをアシスト。スムーズで力強い加速と、アクセルを踏んだ瞬間に反応する鋭いレスポンスを実現させる。しかも高回転まで回すと、さらにレスポンスがシャープになり、抜けのよい排気音が高まる。
また、トルクコンバータ式の9段ATの出来の良さ、エンジンとのマッチングの良さに加え、9段という多段化により、高速巡航時のエンジン回転数が低く抑えられて静かになった。エンジンとの連携もグッドで、シフトショックはほぼ皆無。それでいながら加速がほしいときにアクセルを踏み込めば、スパッとキックダウンでギアを落としてくれる。
このクラスとしては乗り心地の快適さも突出していて、同社のフラグシップモデル「Sクラス」に近いと思えるほど。舗装が荒れた部分などを強行突破しても、路面からのショックはタイヤ、サスペンション、ボディと経由するうちに、丸くて柔らかいものへと上手に減衰される。
安全性に関しても、いま考えられる最先端の仕組みを備えている。高速道路で、車線をキープしながら前の車両に追従するシステムを起動すると、ごく自然に加減速してハンドル操作をアシスト。「ハーイ、メルセデス」と話しかければ、カーナビや空調、音楽の選択などを音声で操作できるから、ドライバーは前を向いたまま運転に専念できる。
ひとつだけ気になる点を挙げるとすれば経済性で、試乗した際には満タン法で15km / lと、燃費に関しては国産ハイブリッド車に軍配が上がるだろう。ただし、Cクラスはディーゼルやプラグインハイブリッドなどラインアップを拡大中だから、燃費を優先するならそちらを選ぶ手もある。
いずれにせよ、目的地まで安全、快適に移動するというクルマ本来の役割を、高いレベルで果たしてくれるのがメルセデス・ベンツの新型Cクラスなのだ。
メルセデス・ベンツ C200 アバンギャルド 車両本体価格: 6,540,000 円(税込)
- ボディサイズ | 全長 4875 X 全幅 1820 X 全高 1435 mm
- ホイールベース | 2865 mm
- 車両重量 | 1700 Kg
- エンジン | 直列4気筒 DOHC ターボ + モーター
- 排気量 | 1496 cc
- 変速機 |9速 AT
- エンジン最高出力 | 204 ps(150 kW)/ 5800 - 6100 rpm
- エンジン最大トルク | 300 N・m / 1800 - 4000 rpm
- モーター最高出力 | 20 ps(15 kW)
- モーター最大トルク | 200 N・m
- Text : Takeshi Sato
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