極上の質感はそのままに“楽しさ”が加わった新型「Sクラス」

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街中でもゴルフ場の駐車場でも、2020年にデビューしたメルセデス・ベンツ新型「Sクラス」を目にする機会が増えている。Sクラスはいつの時代も他の自動車メーカーがその仕上がりを気にする存在でもある。そんな誰もが注目する新型の第一印象は“ドライブすることが楽しい”という、これまでのSクラスではあまり感じたことのないモノといえる。

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それは、ロングホイールベースの「S500ロング(ガソリン+マイルドハイブリッド)」、スタンダードホイールベースの「S400d(ディーゼル)」のどちらにも感じられた。“ドライブすることが楽しい”というニュアンスはスポーティとは少し違い、ドライバーの予想通り、意のままに操れる楽しさだ。高速道路でもワインディングでも、ボディの大きさを考えると意外なくらい、狙ったラインを正確にトレースできる。

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直進時のフラットな感覚、スピード感のなさ、そして極上の乗り心地や信じられないほどの静粛性といった歴代Sクラスの特徴は継承しつつ、新型はコーナリングの時でもボディの大きさを感じさせない。むしろ少しペースを上げて走ってみようか、なんて思わせてくれる。真面目一辺倒だったこれまでのSクラスにはなかった感覚といえる。

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今回Sクラスの走りの変化は、表面的な味付けによってもたらされたものではないと感じる。Sクラスの特徴でもある先端技術、中でもドライバーの意を汲み取って硬さを連続的に変えるサスペンションや後輪操舵、そしてAWD(4輪駆動)のみとなった駆動系がより一層進化し、連携を深めたことによって新たな領域に踏み込めたのだと思う。

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ホイールベースはスタンダードでも3m超、車重も2トン超となる。普通に考えれば街中での取り回しはもちろん、山道でも意のままにとはいかないはずだ。だが人知れず作用する後輪操舵が、時にクイックに、時に安定性を高める。各々の技術は既出なものも少なくないが、それらを高いレベルで連携させ、自然なフィーリングに落とし込めたことが、新たな個性としてにじみ出ている。

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スムーズな走りは複雑なテクノロジーの下支えがあってこそ実現しているのだが、それをドライバー自身が行っている気にさせてくれる点が、ドライブしていてとても気持ちがいい。

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少し体脂肪率が下がり、生き生きと走るようになった新型Sクラスのキャラクターはスタイリングにも表れているように思う。メルセデスが提唱するデザインフィロソフィーである「Sensual Purity (官能的な純粋)」に基づき、デザインの要素を極力減らすことで強い存在感を創出している。特にシュッと細くなったテールライトによる軽快感は、これまでのSクラスの威厳のようなものとは対極にあると感じる。

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自動車技術の最先端を味わえるような感覚は歴代のSクラスと変わらないが、ステアリングを握った誰もが「オッ」と気が付くような新しい味、ドライブする楽しさが、新型Sクラスにはあるのだ。

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メルセデス・ベンツ S 400 d 4MATIC   車両本体価格:13,380,000円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 5179 X 全幅 1954 X 全高 1503 mm
  • ホイールベース | 3106 mm
  • 車両重量 | 2090 Kg
  • エンジン | 直列6気筒 DOHC ターボチャージャー付
  • 排気量 | 2999 cc
  • 変速機  |電子制御9速 A/T
  • 最高出力 | 330 ps(234 kW)/ 3600 - 4200 rpm
  • 最大トルク | 700 N・m / 1200 - 3200 rpm 

 

  • Text : Yoshida Takuo

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