BEVの先端を行く上質な走行フィール  アウディ「e-tron GT クワトロ」

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アウディは2026年以降にリリースする全てのモデルをBEV (バッテリーに蓄えた電気だけで走るピュアな電気自動車)にすると宣言している。その第一弾として、2018年にSUVスタイルの「e-tron」がデビュー。そして2021年には、アウディBEVシリーズのフラッグシップである「e-tron GT」を投入した。

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e-tron GTシリーズは、いま流行りの4ドアクーペのボディ形状で、サイズ感や雰囲気は内燃機モデルの「A7スポーツバック」に近い。ラインアップは、今回試乗した標準モデルの「e-tron GTクワトロ」(530ps)と、ハイパフォーマンスの「RS e-tron GT」(646ps)という2モデルで構成されている。駆動方式は前後にモーターを1基ずつ配置して4輪を駆動する“クワトロ”。また、骨格はポルシェと共同開発されたものであり、ポルシェ「タイカン」とは兄弟車という関係にある。

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実車はひと目で「速いアウディ」とわかる筋骨隆々なスタイリングをしているが、BEVを直感させる要素は決して多くない。例えばテスラやタイカンは開口部が少なく、全体的にツルッとした水滴のような造形によりBEVらしい未来感を演出しているが、e-tron GTにはそれがない。

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フロントマスクに関しても、アウディらしい6角形のシングルフレームグリルの形状やサイズ感は既存の内燃機モデルと同様。そのグリル穴の大部分を化粧パネルで埋めている感じだ。内燃機モデルと大きくかけ離れていないスタイリングコンセプトこそが、このクルマの本質を読み解くカギとなっているように思える。

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前後モーターによる出力の総計は530psで、スロットルを大きく踏み込んだ時の加速は驚くほど速く、BEVなので変速による息つきもない。リアに2段変速のギアボックスが備わっているのだが、変速のショックはいっさい感じない。

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メーカー公表の航続距離は、WLTCモードで534km。恐らく実質的には400km台半ば程度になると思うが、それだけ走ってくれれば普段使いはもちろん、週末のゴルフ場への往復もそつなくこなせるだろう。

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BEVの運転で話題に上がることが多い回生ブレーキ(運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収することで制動として利用する電気ブレーキの一手法)は、強・弱・なしの3段階をステアリング裏のパドルで瞬時にチョイスできる。山道で“強”を選べば、まるで内燃機搭載車のシフトダウンのようだし、高速道路を回生なしで走れば、伸びやかで効率の良い走りを体感できる。

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太めのステアリングを通して感じるハンドリングは、タイヤがしっかりと地面をつかんでいる様子が伝わってきて、こちらもRSやSモデルのような「速いアウディ」を彷彿とさせてくれる。そういった意味では、e-tron GTクワトロはスポーツカー的な性格といえる。

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乗り心地に関しては、サスペンションに金属スプリングが用いられているものの、床下に敷き詰められたバッテリーによる低重心も手伝って「半エアサス的」な感じがする。シャシーやサスペンション全体としてはスポーティで引き締まった感じだが、路面のタッチはフワッと柔らかくて、いかにもプレミアムカーらしい懐の深さが味わえる。

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e-tron GTクワトロというモデルを結論付けるのであれば「上質なアウディと、少し控えめな感じを求める人にオススメ」ということになるだろう。例えばこれまでA7に乗っていたオーナーが乗り換えた場合、走行フィールは滑らかで上質になるが使い勝手自体は変わらない。また、BEVという部分が必要以上に目立たない点を喜ぶ人もいると思う。BEVだからと構えることなく乗り換えられる一台だと感じた。

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アウディe-tron GTクワトロ  車両本体価格: 13,990,000 円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 4990 X 全幅 1965 X 全高 1415 mm
  • ホイールベース | 2900 mm
  • 車両重量 | 2280 Kg
  • 電動機出力 | 590 ps (390 kW)(前後モーター総計) 
  • 最大トルク | 640 N・m
  • 充電走行距離(WLTCモード)| 534 km  
  • 最高速度 | 250 Km / h
  • 0 - 100 km/h | 3.3 秒

 

    • Text : Takuo Yoshida

お問い合わせ先

  • アウディジャパンフリーダイヤル フリーコール : 0120-598-106

    www.audi.co.jp/
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