ジープのスピリットを継承したコンパクトSUV　新型「コンパスリミテッド」

ジープのコンパクトSUV「コンパス」がマイナーチェンジし、日本での販売が始まった。主なポイントは、「インテリアの刷新」「安全装備の充実」「エクステリアの変更」の3つとなるけれども、今回「コンパスリミテッド」に試乗して、改良点とは別に「サイズはコンパクトでも、ジープはジープ」という思いを強くした。

全長は4420mmだから、フォルクスワーゲン「ゴルフ」やトヨタ「カローラ」などと同じCセグメントに属するサイズ感だ。この大きさでも、本格派SUVだと感じた理由をお伝えしたい。

今回のマイナーチェンジにより、ダッシュボードは水平方向にすーっと伸びるデザインに変更され、横方向に広くなったように感じる。新たに10.1インチのタッチスクリーンがセンターに設置されたことで、内装の風景はイマドキっぽくなっている。このタッチスクリーンで、スマートフォンとの連携や空調、オーディオなどを操作する。

クリープ状態（アクセルを踏んでいないのに車がゆっくり動き出す現象）からアクセルペダルを踏み込んで発進した瞬間、想像以上の力強さに驚く。このクラスのクルマだと、小排気量エンジンとターボを組み合わせてダウンサイジングしたパワートレーンにすっかり慣れてしまっているけれど、コンパスは排気量2.4リッターの直列4気筒エンジンを搭載している。

最近の小排気量＋ターボは出来が良いので不満は感じないが、やはりタイヤの最初のひと転がり、ふた転がりの力強さでは、排気量がモノを言う。メルセデス・ベンツ「Cクラス」でさえベースモデルは1.5リッターターボだから、コンパスが2.4リッターのNA（自然吸気）エンジンを積んでいるのは、ある意味で贅沢だ。

コンパスがダウンサイジングターボではなく、2.4リッターの自然吸気を採用しているのは、ぬかるみからの脱出など、悪路でのドライバビリティも考慮しているからだろう。このトルクあふれるエンジンが、本格派SUVだと感じさせる理由のひとつ。組み合わされるトルクコンバーター式9速ATとのマッチングも良好で、力強いだけでなく、変速も滑らかだ。

コンパスには「Sport（スポーツ）」「 Longitude（ロンジチュード）」「Limited（リミテッド）」の3グレードがあり、今回試乗したリミテッドは4輪駆動となる（他の2つは前輪駆動）。この4駆システムは、悪路走破性を高めるデフロック（空転していない車輪に駆動力を与える）やローギアを備えており、急勾配の下り坂でも安定した姿勢を保つ「ヒルディセントコントロール（一定の低車速を保ち、下り坂での走行を補助するシステム）」が標準装備されている。

実際のところ、オンロードでの試乗会だったので体感できる機会はなかったけれども、シフトレバーの隣に位置するセレクターで「SAND/MUD」「SNOW」「AUTO」の3モードから選べる、高機能の4駆システムを備えた信頼感は何ものにも代えがたい。前述したようにデフロックやローギアまで付いているから、「ゲリラ豪雨でも大雪でもドンと来い！」という、大船に乗った気分になる。