テスラ モデル3、クルマとしての魅了は十分につまってます

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いろいろと話題を振りまいてきたテスラ。EVのみの自動車メーカーという業態に、シンパもいればアンチもいるかと。でもモデルS、モデルXとニューモデルが登場するたびに思うのは、クルマとしての出来栄えがすごくよくなっていること。となれば、モデル3も興味津々。さて、どんな走りを見せてくれるのでしょう。

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モデル3の登場は2016年でした。それまでモデルSやモデルXといった1000万円級をラインナップしていた彼らにとって初の低価格戦略というポジションです。スタートプライスは半分の500万円。その価格でテスラが買えるなら魅力的に思えちゃうから不思議です。EV信奉者じゃなくとも手を止めちゃうというか。

そして、昨年9月から日本でのデリバリーが開始されました。アメリカは左ハンドルですが、日本は右ハンドルのみ。まぁ、あまり複雑な構造ではないので、ハンドル位置を変えるのはそれほど苦ではないと思われます。

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冒頭から価格の話ばかりで恐縮ですが、モデル3のグレードは3種類で、500万円前半と600万円中盤、700万円前半というように分かれます。トップエンドは“パフォーマンス”、真ん中は“ロングレンジAWD”、エントリーは“スタンダードプラス”という名前です。違いはパフォーマンスで、加速、最高速度共に“パフォーマンス”が群を抜きます。ですが、その名前通り航続距離は“ロングレンジAWD”が一番長い。WLTP値で560kmはなかなかですね。お見事!

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ちなみに、エントリーの“スタンダードプラス”ですが、いずれプラスのない“スタンダード”が追加されるという話を耳にしました。となると価格は500万円を切りますね。中身はクルマのパフォーマンスというよりは装備違いになるでしょうから、過度なエンターテイメントは必要ないと思えばそんな選択もありかな。

さらにいえば、このモデル3をベースにしたミッドサイズSUVも後に控えています。モデルYと呼ばれるそれは、今年3月アメリカでデリバリーが開始されたようですから、日本上陸もそれほど遠い話ではないようですね。SUVブームですから、テスラもその辺は見込んでいることでしょう。この2台の関係性は、マツダ3とマツダXC-30を思い起こします。名前も似ていますね。

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さてさて、モデル3に話を戻しましょう。

このクルマはミッドサイズセダンになります。全長は約4700mm、全幅は約1850mm。最近は1900mm近いワイドボディのクルマが多いから、このくらいに抑えてもらえるとリアリティがあります。タワー式のパーキングでは全幅1900mm制限のところも少なくありません。

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エクステリアデザインではボンネットの低さが際立ちます。この下はエンジンではなくトランクルームですからそんな芸当ができるわけです。コレは運転席に座っても強く感じます。左右のフェンダーが少し盛り上がっているところが意外にもレーシーなんですよ。

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ボディ後方はモデルS似。リアフェンダーの膨らみはテスラのアイデンティティってところでしょうか。リアもまたフロント同様独立したトランクルーム。リアガラスから開くハッチバックタイプではありません。トランク床下も恐ろしく深い。ガソリン車との根本的な違いが垣間見られます。タイヤはミシュラン・パイロットスポーツ4Sの20インチを履いていました。ここからもハイパフォーマンスな性格が伺えます。

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インテリアは・・・・・すごいことになっています。とその前に鍵の開け方に特徴があります。カード型のキーをセンターピラーにかざすとロックが解除されるんです。でもオーナーになってこのキーをスマホと同期させれば、そんなことも必要ありません。スマホをポケットに入れて近づけばロックは解除され、クルマから離れればロックされます。つまり、カードキーすら持ち運ばないってことです。

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で、ドアを開け運転席に座ります。するとあることに気づきます。ステアリングの向こう側にメーターがないんです。初めはさすがに殺風景に感じます。あるべきものがないんですから。 テスラはダッシュボードセンターの15インチタッチスクリーンに操作系のすべてを納めました。モデルSやモデルXの縦長だったモニターが横長になっているのはそのため。横長画面の右1/3を本来メーターが表示していた情報スペースにあてているんです。効率いいですね。さすが。しかも、このモニターはあらゆることができます。ステアリング上のスイッチと連動させてドアミラーを調整したり、ステアリング自体のチルトやテレスコ調整も連動して行います。独立したスイッチが用意されるのはシートアジャストとウィンドウの開け閉め、それとドアを開くときのスイッチだけでしょう。センターコンソールにはひとつもありません。

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そういえば、エアコンの吹き出し口がないことにも驚きました。ウッドパネルの上部隙間から風が出てくるんです。これもひとつの画期的なアイデアですよね。自動車メーカーからは生まれない発想です。この他のこだわりはフェイクウッドや人工皮革を使っているところでしょうか。動物保護や環境問題からの採用ですが、クルマの軽量化にも一役買っているはずです。

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では、走った印象に話を進めましょう。 クルマはとにかく滑らかに走り出します。ゆっくりアクセルを踏めばゆっくりと上品に動きます。いきなりトルクが立ち上がってグイッと出てしまうのはもう昔の話ですね。でも、アクセルをガツンと踏み込めばEV特有の加速が顔を出します。ガソリン車とは違う加速感に目がついていけません。宇宙戦艦ヤマトがワープするようなイメージです。街中でも前が空いていれば試せますが、周りに十分な注意が必要です。

とはいえ、この辺は正直想定内。モデルSのローンチコントロールも試したことがありますが、EVならではの加速は何十回と経験してきました。そういう意味でいうと、モデル3のハンドリングの方が驚きです。操舵角が深いのも相まって歯切れよくクイクイっと向きを変えます。どちらかというとオーバーステア傾向ですかね。運転好きであれば楽しくなります。

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ステアリングフィールは、センターが重くそこからスッと切れ込んでいく味付けです。ですが、これもタッチスクリーンで変えられるので好みに合わせればいいだけ。回生ブレーキもそう。一番強い状態ではワンペダル操作ができるまでになりますが、AT車のクリープ状態をつくることもできます。まさに自由自在という感じですね。試乗する機会があれば、いろいろ試すのをお勧めします。 というのがモデル3のファーストインプレッションですが、コンピューターの階層のように知れば知るほどこのクルマは奥が深そうです。そこに到達するにはデジタル脳が必要かもしれませんね。

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TESLA Model3 DUAL MOTOR AWD PERFORMACE
車両本体価格:7,173,000~(税込)

  • ※写真はオプション装着車。
  • ※表示価格にはオプションは含まれておりません。
  • ※価格には保険料、税金(消費税除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
  • ボディサイズ | 全長 4695 x 全幅 1850 x 全高 1444 mm
  • ホイールベース | 2875 mm
  • 車両重量 | 1847 Kg
  • 最高出力 | 480ps(360kW)
  • 最大トルク | 660 N・m
  • 駆動方式 |デュアルモーターAWD
  • 航続距離(WLTP) | 530 km

 

  • Photo : Koichi Shinohara
  • Text : Tatsuya Kushima

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