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ベストサイズのアルファが復活 アルファロメオ「ジュニア」

今年6月、待望の新型アルファロメオ「ジュニア」が国内デビューした。その名を耳にすれば、アルファロメオ通なら「おぉ、復活か!」と声が出るし、詳しくない人にとっても“小ぶりなモデル”というニュアンスは伝わるだろう。そう、最新のジュニアは全長4195mmという比較的コンパクトなハッチバックだ。

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日本市場にはかつて「145」や「147」、「ミト」、「ジュリエッタ」といったコンパクトハッチが存在し、その使い勝手の良さとキビキビした走りで多くのファンを魅了してきた。しかし2020年にジュリエッタが販売終了して以降、そのポジションは空席のまま。メーカーとしてはマイルドハイブリッド(MHEV)やプラグインハイブリッド(PHEV)を用意する「トナーレ」をエントリー的に位置づけてきたが、サイズ面での“ちょうどいい”モデルが求められていたことは間違いない。

ラインアップは1.2リッター、直列3ターボ+MHEVの「イブリダ」と、完全電動BEVの「エレットリカ」。駆動方式はいずれもFFで、イブリダにはベーシックな「コア」と上級仕様の「プレミアム」が設定される。今回試乗したのはベーシックな「イブリダ コア」だ。

まず目を奪うのはスタイリング。細身のヘッドランプが切れ味のある表情を演出するフロントマスク、そしてキュッと絞り込まれたリアの造形は、エントリーモデルとは思えないほどの手の込みようだ。車高はやや高めで、17インチタイヤと樹脂製フェンダーアーチの組み合わせがクロスオーバーSUVような雰囲気を漂わせる。

ドアを開ければ、そこは間違いなくアルファロメオの世界。わずかにタイトな空間に包まれ、立体的なダッシュパネルが迫ってくる。二つの大きなひさしに覆われたメーター造形は、戦前からの意匠を現代的にアレンジしたものだ。アーカイブの使い方が実に巧みで、ブランドの血統を強く感じさせる。

エンジン単体で136psを発揮し、そこに21psというMHEVとしては力強いモーターが加わる。静かにアクセルを踏み出せば、30km/hまではモーターだけで走行可能。街中での発進は驚くほど滑らかで、その後ターボエンジンが自然に加わる。やがてステアリング裏のパドルで6速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を操れば、このクルマの本性が現れる。ターボとモーターの二重奏が一気に立ち上がり、コンパクトなボディをグンッと押し出す。ワインディングでは、ボディ剛性の高さと操作系のカッチリ感がリンクし、パワーとハンドリングが一体となった感触が手のひらに返ってくる。

それでいて高速巡航では驚くほどしっとりと落ち着いている。かつてのコンパクト・アルファが持っていた“元気すぎる”キャラクターとは異なり、ジュニアは滑らかに速度を乗せ、長距離でも疲れにくい。活発なスポーツモデルというより、スポーティさとプレミアム感をバランスよく併せ持つキャラクターだ。レクサス「LBX」やBMW「 X1」といった競合と比べても、“遊び心”という観点では一歩リードしている。しかもイブリダ コアは420万円(税込)という価格設定。これはかなり魅力的だ。

アルファロメオ ジュニア イブリダ コア  車両本体価格: 420万円(税込)

    • ボディサイズ | 全長 4195 X 全幅 1780 X 全高 1585 mm
    • ホイールベース | 2560 mm
    • 車両重量 | 1330 kg
    • 排気量 | 1199 cc
    • エンジン | 直列3気筒ターボ + MHEV
    • 最高出力 | 136 ps (100 kW)
    • 最大トルク | 230 N・m
    • モーター最高出力 | 21 ps (16 kW)
    • 最大トルク | 51 N・m
    • 変速機 | 6速 DCT

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Text : Takuo Yoshida

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