BMWの新型「5シリーズ」が上陸した。シリーズ8代目、型式名G60の特徴はラインアップの中にBEV(電気自動車)が含まれていることだ。BMWは将来のロードマップを電気だけに絞らず、「需要に応じて様々なパワートレーンを用意する」としているが、新型5シリーズのフラッグシップは100%バッテリーEVの「i5」だ。
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i5のグレードは今回試乗したM60 xDriveと、eDrive40の2種類。M60は2つのモーターによる出力総計601psを発揮するAWD(4輪駆動)のパフォーマンスモデル、eDrive40は340psの後輪駆動となっている。
「i5 M60 xDrive」の外観は、一見しただけではBEVと判断するのが難しい。床下にバッテリーを積むBEVはボディが分厚くなりがちだが、サイドシル(ドア下の敷居部分)が黒塗りされていることもあり腰高感はほとんどない。またバッテリー容量確保のため、タイヤを可能な限り車体の隅に追いやって、ホイールベースを確保した跡もなかった。どちらかといえば保守的なBMWファンをホッとさせる“これぞ5シリーズ”的なスタイリングといえる。
室内もエクステリア同様で、内燃機モデルから乗り換えたとしても違和感はないだろう。昨今はスタートボタンを押してもエンジンが唸らないハイブリッドのようなクルマは珍しくないし、センターコンソールには、シフトスイッチやクリスタルガラス製の大型ダイヤルも備わっている。結論から先に言えば、仕上がりは素晴らしい。内燃機モデルと同等の扱いやすさと、BEVの静粛性、力強さが高いレベルでマッチングしている。“M”のアルファベットを含むパフォーマンスモデルらしくスポーティだ。
ステアリングの左側に付いているパドルスイッチを引きスロットルを踏み込むと、メーターパネルが専用表示に切り替わる。そして迫力あるサウンドとともに、今まで感じたことがないほどの圧倒的なブースト加速が始まる。パフォーマンスはM5 (BMW M社が手がける最も走りに特化したモデル)を軽く凌駕するほどの動力性能の持ち主だった。
そうした動力性能の一方で、乗り心地や室内の広さといった快適性能もフラッグシップらしく確保されている。サスペンションはフロントにコイルスプリング、リアにエアサスペンションという珍しい組み合わせだが違和感はない。むしろステアリングから伝わる前輪の印象はスポーティで、リアシートはゆったりとした乗り心地という“いいとこ取り”が成立している。
一充電あたりの走行距離はWLTPモードで455km。実際には400km程度走ってくれるので、日帰りゴルフであれば出先で充電する必要はない。デメリットがあるとすれば、旅先における充電問題だが、すぐに慣れてしまうと言える。今年最後になって本命のクルマがやってきた、i5 M60 xDriveはそう断言したくなるような一台だ。
BMW i5 M60 xDrive 車両本体価格: 1548万円(税込)
- ボディサイズ | 全長 5060 X 全幅 1900 X 全高 1515 mm
- ホイールベース | 2995 mm
- 車両重量 | 2380 kg
- システム最高出力 | 601 ps (442 kw)
- システム最大トルク | 795 Nm
- バッテリー容量 | 81.2 kWh
- 一充電走行距離 | 455 ㎞(WLTCモード)
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Text : Takuo Yoshida