近未来的デザインを体感せよ BMW 「iX」が放つ異彩と魅力

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BMWは、電気だけで走るクルマ(BEV=バッテリーEV)の市販モデル展開に、早くから意欲的だったメーカーの一つだ。2013年に発売した「i3」は、俊敏性の向上や航続可能距離の延長を図り、モノコックボディを軽量のカーボンファイバーで形成するという、量産車としては初めてといえる試みでも話題を集めた。

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そんなi3の先進性に惚れ込んだ人ならば、BMWの最新BEVである「iX」のドアを開けた瞬間、ニヤリとせずにはいられないだろう。i3と同じく、ドア開口部の断面にカーボンファイバー特有の黒い網目模様を確認できるからである。

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iXはサイズ的には「X5」相当で、クロスオーバーSUVのようなボディ形状を持つ。i3と比べるとカーボンの使用は部分的で、主にEV専用のアルミ骨格が採用されている。床下に駆動用バッテリーを敷き詰め、前後に電気モーターを配してxDrive(AWD=全輪駆動)とするレイアウトは、いまやBEVのスタンダードだろう。

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モデルラインアップは、ベーシックな「iX xDrive40」と上位グレードの「iX xDrive50」。そしてつい最近、Mの名を冠したハイパフォーマンスモデル「iX M60」も追加された。今回試乗したiX xDrive50はフロントに258ps、リアに313psの電気モーターを備える。注目すべきは航続距離で、なんとWLTCモードで650kmを記録している。BEVの実走行距離はWLTC数値の7~8割といわれているが、それでも500km前後は走れることになる。

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BEVではiXにサイズが近いメルセデス「EQC」のWLTC数値は400kmだし、他のモデルも実質的な航続距離が200~300km台が多い中で、これは大きなメリットになるだろう。現在の日本でBEV購入の主なネックとされる「航続距離の短さ」と「外出先での充電インフラの少なさ」という問題をクリアし得るのである。

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ただ、今回のフォーカスは航続距離ではない。走りももちろん良いが、それでもない。iXを取り上げる理由は、先に挙げたカーボンを使用したボディ構造や、5年ほど先を行くような近未来的な内外装のデザインにある。現状で最もイケている、ゴルフ場のエントランスでも視線が集中するクルマだからである。

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細部のニュアンスが醸す存在感のせいだと思うが、iXは写真で見るよりも実車の方がインパクトが強いクルマだ。ボディの隅々まで艶々としており、まるでモーターショーに展示されるプロトタイプ車がそのまま路上に走り出したような印象すらある。

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室内は、外装よりもさらに近未来感が強く感じられる。メーターとナビパネルが横長に連続しており、ダッシュパネルから浮き上がったように据えられているのも斬新だし、ドアインナーパネルに至る造形にもこれまでにない新鮮さが宿っている。「iXの最大の価値はデザインにあり」とはいえ、凝ったデザインのために実用性が犠牲になっていたら魅力的なクルマとは言い難いが、その点はどうか?

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室内の広さは相当なもので、前後のシート自体も大きくて包まれている感覚が高い。リアシートの足元はBMWでいえば7シリーズ並の広さがある。また、iX iDrive50には後輪操舵システムが標準装備されているため、ボディの大きさから想像するよりも小回りが利く点もありがたい。リアの荷室は、ボディサイドの構造が分厚いためフロア形状が縦長になっている。ゴルフバッグは斜め方向か、電動のリアシートバックを倒して積むかたちになるだろう。

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ドライブフィールはエアサスペンションによるフワッと厚みのある乗り心地や、これまでのBEVよりも幾分しっとりと立ち上がる加速が知的に感じられる。つまり、見た目の近未来感と実際のタッチの整合性が高いのである。

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サイズ的にはX5相当だが、価格的には「X7」とほぼ同じ。それでいて、他のBMWとは異なるi3譲りの輝きがある。とかく試乗は何かと比べがちだが、パイオニアが表現する先進性やオリジナリティを心ゆくまで堪能できた。

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BMW iX xDrive50  車両本体価格: 12,800,000 円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 4955 X 全幅 1965 X 全高 1695 mm
  • ホイールベース | 3000 mm
  • 車両重量 | 2530 Kg
  • 駆動方式 | AWD (電気モーター×2)
  • 電動機出力 | 523 ps (385 kW)(前後モーター総計) 
  • 最大トルク | 765 N・m
  • 充電走行距離(WLTCモード)| 650 km  
  • 最高速度 | 200 Km / h
  • 0 - 100 km/h | 4.6 秒

 

    • Text : Takuo Yoshida

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  • BMW カスタマー・インタラクション・センター:0120-269-437

    www.bmw.co.jp
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