個性を楽しみ誇れるスポーツカー　ジャガー「F-タイプ」の魅力

2020年にデザインを含めた大がかりな変更をしたジャガー「F-タイプ」が、予想をはるかに上回る進化を見せていた。人とは違うスポーツカーに乗ってみたいという方に、自信を持ってお勧めできるその魅力を紹介する。

F-タイプを推す理由のひとつが、クーペとコンバーチブル、FR（後輪駆動）とAWD（4輪駆動）、そして3タイプのエンジンと、バリエーションが豊富なことだ。アメリカやイタリアにも優れたスポーツカーはあるけれど、駆動方式やエンジンを選べるものは少ない。その点、F-タイプは自分の理想を組み合わせた仕様をオーダーする楽しみが味わえる。

乗り心地や視界がよいことから、実用性に優れることも推す理由だ。派手な飾りがなく、硬派で質実剛健なキャラクターだから、気負わず、普段使いをすることができるスポーツカーと言えるだろう。速さや格好よさと同じようにスポーツカーに必要とされるストーリーにおいても、ジャガーには由緒正しいルーツがある。日本ではジャガーといえば上品なサルーンを思い浮かべるかもしないけれど、名声を高めたきっかけは、1950年代に5度もルマン24時間レースで優勝したことにある。もともとはスポーツカーのブランドなのだ。

サーキットで大暴れしたジャガー「C-タイプ」や「D-タイプ」、そして市販スポーツカーとして登場した「E-タイプ」の系譜を継ぐF-タイプに乗るということは、ジャガーのスポーツカー物語の1ページに名を刻むことでもある。ちなみに現在、E-タイプの誕生から60周年を祝う限定モデルがF-タイプに設定されている。

3タイプのエンジンのうち、2.0リッターの直列4気筒エンジンを搭載したモデルは後輪駆動で、素直な操縦性が売りだ。ボンネットの下のエンジンが軽いから、コーナーで軽快に走る。2.0リッターなのでパワーに満ち溢れているという印象は受けないけれど、全力を出し切ったという清々しい気持ちになれる。

3.0リッターのV6モデルは後輪駆動と4輪駆動を選べ、パワーに余裕があるのはもちろん、ちょっと贅沢さも感じさせる。直4エンジンに比べてエンジンの回転フィールが繊細で、“いいモノ感”をひしひしと伝えてくるからだ。実際のところ、日本の道路事情であれば最高出力300psの2.0リッター直4の動力性能で十分以上であるけれど、このV6は全身に伝わるエンジンの質感や太く長いトルクを愛でることができる。