2020年秋にマイナーチェンジを受けたメルセデス・ベンツの新型Eクラス。外観などが大幅に刷新されたが、実際に試乗すると、さらに大きな進歩を感じた。
わかりやすい変更点は、特にフロントマスクだろう。フロントグリルは、メルセデス・ベンツがダイヤモンドグリルと呼ぶ末広がりの台形に改められ、上下方向に薄くなるとともにやや切れ上がった形状のヘッドランプが精悍な印象を与える。また、左右のフロントバンパー下部に2本のフィンが配置されることで、ロー&ワイドなたたずまいとなった。
もうひとつわかりやすい変化が、「ハーイ、メルセデス」でおなじみの音声で操作できるインフォテインメントシステムMBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)が装備されるようになったことだ。
ハンドルを握ったまま、視線を動かさずに目的地設定や空調の調整、音楽のチョイスなどができるこのインターフェイスは本当に便利かつ安全で、一度経験すると離れがたくなる。2018年よりメルセデス・ベンツの各モデルに順次採用されているMBUXは学習機能も備え、使えば使うほどユーザーの好みや使い方に順応する。だから利便性とともに、ペットがなつくようなおもしろさもある。
今回試乗したのは、メルセデス・ベンツ E200 Sport。一般的に、上記した2つが変更点のポイントとなるだろうけれど、試乗すると、乗り心地もまた大幅に改善されていた。
マイナーチェンジ前のEクラスは、フラットな乗り心地を提供するものの、ハーシュネス(路面からの突き上げ)がやや強すぎるように感じた。アジリティ(機敏さ)を重視したセッティングによるものか、あるいはランフラットタイヤとのマッチングの問題なのか、理由はいくつか考えられるが、もう少し衝撃をいなしてほしいと感じたことは確かだ。
ところが新型Eクラスは、路面からの衝撃が角のとれた丸いものに変わっていた。ちなみに、マイナーチェンジを知らせるプレスリリースには足まわりの変更についての記述はない。だから大掛かりな設計変更ではなく、ファインチューンで改善したと思われる。
まず、E200やE200dに標準装備される「AGILITY CONTROLサスペンション」は、エアサスや電子制御式ダンパーが備わらない、ごく標準的なもの。このサスペンションで首都高速のつなぎ目を突破しても、4本の足がしっかり沈み込んでショックを和らげ、タイヤの硬さを意識させることもない。
E300やE350eなどの上級モデルに備わる「AIR BODY CONTROLサスペンション」は、エアサスと電子制御式ダンパーを組み合わせたより高度なサスペンションシステムだ。基本的な性格は「AGILITY CONTROLサスペンション」と共通で、足がよく動いてショックを吸収、そしてすぐに揺れを抑えてフラットな乗り心地を提供する。
メルセデス・ベンツEクラスは、ステーションワゴンはもちろんセダンであっても積載能力に優れた、ゴルファー向きのモデルだ。動力性能や安全装備は申し分ないうえに、今回のマイナーチェンジで長距離ドライブが快適かつ楽しくなるように足まわりが改善された。SUVではなくセダンやステーションワゴンにこだわりたいゴルファーにとっては、有力な選択肢となるだろう。
Mercedes-Benz E 200 Sports
車両本体価格:7,690,000円(税込)
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- ※価格には保険料、税金(消費税除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
- ボディサイズ | 全長 4940 X 全幅 1850 X 全高 1455 mm
- ホイールベース | 2940 mm
- 車両重量 | 1720 Kg
- エンジン | 直列4気筒 DOHC ターボ
- エンジン排気量 | 1496 cc
- 最高出力 | 184 ps(135 kW)/ 5800 - 6100 rpm
- 最大トルク | 280 N・m / 3000 - 4000 rpm
- Text : Takeshi Sato
- Photographer : Takahito Ochiai(Gran)
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