プロゴルファーは
子どもがゴルフがわかるようになった時、
かつての自身の栄光の瞬間を
もう一度見せられないかと考える。
しかしそれは簡単なことではない。
若い選手がどんどん力をつけ
自身の今の立ち位置を考えると
ぼんやりとした夢に終わってしまうことがほとんどだ。
残った火種に息を吹きかけ
大きな炎とするためには
途方もない努力と忍耐がいる。
2017年に谷原秀人は
息子とマスターズのパー3コンテストに
出ることを夢見た。
そして念願を叶えた2度目のオーガスタ。
絢香夫人と長男の悠人(ゆうと)くんは
白いツナギを着て準備万端、
スタート直前のことだった。
雷雲接近のサイレンが鳴り中断。
その後は回復の見込みなく
大会史上初めてコンテストが中止となった。
あれから4年が過ぎた。
欧州ツアーから主戦場を日本に移し、
今年は太平洋マスターズと日本シリーズで2勝を飾った。
叶えられなかった息子との約束。
消えかかった火種は
今またフツフツと大きくなり始めた。
Augusta National Golf Club
オーガスタナショナルゴルフクラブ
- 関連リンク
- 43歳・谷原秀人の野望はまだ海の向こうに
宮本 卓Taku Miyamoto
1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。