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旅する写心 〜Maiden Voyage

神戸の旧居留地にある
オリエンタルホテルの壁に
一枚の地図が飾られている。
落書きのような簡単なものだが
不思議と吸い込まれるように
見入ってしまう自分がいた。

神戸が開港した1868年に
一人のイギリス人青年が
神戸に上陸した。
その名はアーサー・ヘスケス・グルーム。
1874年には日本で2番目の鉄道が
大阪-神戸間で開通した。
貿易商だったグルームは
この地に「東洋一の洋館ホテル」
オリエンタルホテルを建設。
スポーツをこよなく愛したグルームは
やがて六甲山の開発に乗り出し
自身の別荘を建てた。

そして、それだけでは飽き足らず
ゴルフ場を造ることに情熱を傾けた。
それが日本で初めてのゴルフ場
神戸ゴルフ倶楽部である。

眺めていると
当時のグルームの気持ちが
伝わってくる可愛い地図だ。
ゴルフが好きで温泉が好き。
なぜかグルームのそばには人が集まった。
日本人の女性と結婚し
15人の子供に恵まれた。
スコッチが好きだったという。
この地図もきっと
酔っ払いながら書いたのかも。
ああ、なんて素敵な人なんだ。

神戸オリエンタルホテル
兵庫県神戸市

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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