ジャンボ尾崎がいちばん強い時代、
当時、僕は彼のプライベートカレンダーの
撮影を担当していた。
中でもいちばんの想い出は
ダンロップフェニックストーナメントでの3連覇だ。
94年、最終日の17番パー3で
ティショットをダフり
ボールが池で一度跳ねた後、
噴水の上で止まるという珍事が起きたが、
そのホールをボギーで凌ぎ大会初優勝を飾った。
95年、最終18番ホールで
4番アイアンで打ったセカンドショットは、
ギャラリーも解説者も
一瞬、ボールを見失うほどのドローボールで
見事ピン手前7メートルにオン。
ワンパットで沈めて逆転優勝した。
そして96年、トム・ワトソン、尾崎直道を抑え
自身にとって100勝目を大会3連覇で達成した。
1971年に初制覇した日本プロの開催コースも
ここフェニックスCCという想い出の地だった。
撮っていて鳥肌が立つとはこういうこと。
僕にとって、これらの名場面の数々が、
血となり肉となって今がある。
今大会は今年で50回目を迎える。
宮本 卓Taku Miyamoto
1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Clubほか、国内数々のオフィシャルフォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。