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深紅のレブリミットを追いかけて ランボルギーニ「テメラリオ」が誘う“制御された狂気”

昨年12月、東京で鮮烈なデビューを飾ったランボルギーニの新章──「テメラリオ」に触れる機会を得た。ウラカンの後継として生まれたこのミッドシップ2シーターは、V10自然吸気からV8ターボ+PHEV(プラグインハイブリット)へと大転換を果たしたモデルだ。だがスペックを追うだけではこのクルマの本質はつかめない。1万回転まで淀みなく吹けあがるV8と、3基のモーターが織りなすAWDシステム。その仕立ては、ランボルギーニが「次の10年」をどう描いているかを雄弁に物語る。

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試乗は房総半島の中央に位置するクローズドトラック「ザ・マガリガワ・クラブ」。鋭い面で構成されたボディは誰が見てもランボルギーニそのものだが、その“戦闘態勢”はコクピットに座った瞬間に完成する。ステアリング左上には赤いドライブモードノブ。EV走行の「チッタ」からレースモードの「コルサ」まで、わずかな指の動きで性格が切り替わる。

スポーツモードで軽くアクセルを踏んだ瞬間、まず驚いたのは“しなやかな硬さ”だった。サスペンションの設定は明確にスポーツ寄りだが、アルミシャシーとの相性がよく、不快な振動をきれいに吸収する。走りに集中しろ──そう言われているような落ち着いた静けさがある。

ストレートでスロットルを開けると、横一線のバーグラフ状レブカウンターが一気に駆け上がる。針を見る前に、身体が回転上昇を悟るほどの鋭さ。2速、3速とギアを繋ぐたびに針は軽々と高回転域へ駆け上がり、余裕を残したままレブリミットに迫っていく。ストレートでは想像以上の加速で、思考より先に次のシフトポイントが来る。速度の伸び方は、数字が現実味を失っていくタイプの速さだ。毎周のようにストレートエンドでは250km/hに達する。排気音は規制の影響でウラカンほどの咆哮(ほうこう)ではないが、それでも背後のV8は「その先」へ行こうと暴れ続ける。音量ではなく“意志”で走りを語るエンジンだ。

テメラリオは1万回転という話題性ばかりが先行しがちだが、その外側の性能とバランスこそが進化の核心だ。システム出力920psという数字は身構えるが、実際にコーナーへ飛び込むと、ステアリングを握る手に、路面からの確かな反力が伝わり、コーナーでも安心して攻められる感覚がある。恐怖ではなく、「操れる」という確信が先にくる。

フロントに2基、リアに1基の電気モーターが走りを左右し、コーナー出口では“あと半歩”踏み込ませる余裕をくれる。さらに、テメラリオ専用にイタリアで開発されたブリヂストンタイヤが、本来ならドライバーの腕が要求される領域をやさしく支えてくれる。昔のスーパーカーは“選ばれた者だけ”が乗りこなした。だが最新のランボルギーニは、乗り手の技量を底上げしてくれる相棒のような存在へと進化している。

今回は標準仕様に加え、カーボンファイバー製エアロで25kg軽量化した「アレジェリータパッケージ」も試した。公道では違いが見えにくい空力だが、250km/hからのフルブレーキングでは一発で理解できる。フロントとリアのスポイラーが路面へ車体を押しつけ、ブレーキの初期タッチから制動の立ち上がりまでの安定感が一枚上をいく。ステアリングに伝わる“揺るぎなさ”がまるで違う。

一般道こそ走れなかったが、テメラリオなら街中でも無理なく応えてくれる気がする。意外なほど視界がよく、カメラやセンサー、アダプティブクルーズコントロールも装備されている。ラゲッジはスーパーカーの定番どおりフロントのみ。キャディバッグは助手席に寝かせる形になるだろうが、そんな不便さもまた“所有するということ”の一部になる。スーパーカーとは、スペック以上に“物語”を手に入れる存在だ。その物語に「Lamborghini」の名が刻まれるだけで、人生には確かな余韻が残るだろう。

ランボルギーニ テメラリオ  車両本体価格: 未定

    • ボディサイズ | 全長 4706 X 全幅 1996 X 全高 1201 mm
    • ホイールベース | 2658 mm
    • 車両重量 | 1690 kg(乾燥重量)
    • エンジン | V8 ツインターボ + PHEV
    • 排気量 | 3995 cc
    • エンジン最高出力 | 800 ps
    • システム総計最高出力 | 920 ps
    • 最大トルク | 730 N・m
    • トランスミッション | 8速 AT(DCT)
    • 0-100 km / h | 2.7 秒
    • 最高速度 | 343 km/h

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Text : Takuo Yoshida

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