
現行のフォルクスワーゲン「ゴルフ」は8代目。そのトップグレードである「ゴルフR」がマイナーチェンジをした。ハイパフォーマンスとAWD(4輪駆動)の組み合わせは、4代目ゴルフから続く伝統。車名に「R」が冠されたのは、V6から直4ターボに切り替わった6代目からだ。
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新しいゴルフRシリーズには、これまでと同様にハッチバックとステーションワゴンの2タイプが用意される。グレード構成はベーシックな「R」と、装備が充実した「Rアドバンス」。今回試乗したのは、19インチタイヤと軽量アルミホイールが精悍な印象を与える「Rアドバンス」だ。

マイナーチェンジのポイントは、内外装とメカニズムの両方にある。フロントバンパーをはじめ、前後ランプの意匠が変更された。室内では、ゴルフR専用のバケットシートは継続しつつ、Rアドバンスにはナッパレザー表皮が与えられ、質感が一段と高まった。パワートレインにも手が入った。2.0リッター、直列4気筒ターボエンジンの最高出力は320psから333psへと向上。さらに、これまでオプションだった可変ダンピングコントロール「DCC(アダプティブシャシーコントロール)」が標準装備となった点も見逃せない。

走り出すと、歴代ゴルフRに共通する“凝縮感”がすぐに伝わってくる。しっかりと身体をホールドするシート、手応えのあるステアリング。メカニカルなパーツがぎっしり詰め込まれたような一体感がある。

今回の試乗は、少し離れた郊外のゴルフ場へ向かう道のり。都市高速を抜け、郊外のバイパス道路へ、そしてワインディングを経由して山間のリゾートコースへと至るルートだ。

都市部を抜けた先の高速区間では、333psを発する4気筒ターボの余裕を感じる。軽くスロットルを踏み込んだだけで、車速はスムーズに上昇。7速DCTの変速は滑らかで、高速巡航中もエンジン回転は静かに抑えられており、ロードノイズや風切り音も最小限にとどまる。ACC(アダプティブクルーズコントロール)をセットすれば、追従・加減速の制御も自然で、長距離移動時のストレスは少ない。信頼感のある電子制御が、ドライバーの心をふっと緩めてくれる。

山間部に入ると、道は次第にタイトなワインディングへ。ここで「Rパフォーマンストルクベクタリング」が本領を発揮する。タイトコーナーでも4輪が路面をしっかり捉え、ステアリング操作に対して極めてリニアに反応する。フランス製ホットハッチのようにリアが軽やかに動くのとは違い、終始フラットで、四輪をフルに接地させて“ねじ伏せるように”曲がっていく。

路面が濡れていた区間もあったが、トラクションが乱れる気配はなく、むしろそうした場面でもアクセルを踏める安心感がある。ハンドルを切った瞬間から立ち上がりまで、一連の挙動に破綻がなく、スピードを上げても姿勢が崩れない。これほどの安心感は、AWDスポーツならではのものだろう。乗り心地は硬質ではあるものの、不快な突き上げはなく、しっとりと路面をいなすような感触。スポーツカーのような高いコーナリング性能を持ちながら、長距離移動もこなせる“ゆとり”があるのがゴルフRの真骨頂だ。

荷室容量も必要十分。リアシートの片側を倒せば縦方向にキャディバッグを3本積載することもできる。

後期型となったゴルフRは、小さな高級車としての品格を備えつつ、ラリーカーのような走りも楽しめる希少な存在だ。目立ちたくはないが、誰よりも速く、安心して走れるクルマが欲しい。そんな想いに応える一台である。

フォルクスワーゲン ゴルフR アドバンス 車両本体価格: 704.9万円(税込)
- ボディサイズ | 全長 4295 X 全幅 1790 X 全高 1460 mm
- ホイールベース | 2620 mm
- 車両重量 | 1520 kg
- エンジン | 直列4気筒 ターボ
- 最高出力 | 333 PS(245 kW)
- 最大トルク | 420 N・m
- トランスミッション | 7速DCT(デュアルクラッチ)
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Text : Takuo Yoshida








