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速さにも、まろやかさにも効く電動化 シボレー「コルベットE-Ray」

アメリカンスポーツカーの象徴、シボレー「コルベット」は2020年にフルモデルチェンジし、8代目となる現行モデルではエンジンがフロントからドライバーの背後に移され、ミッドシップに進化した。そのラインアップに昨年1月、コルベット初の電動化モデル「E-Ray(イーレイ)」が追加された。

E-Rayという名前は、エレクトリックとコルベットの伝統的な“スティングレイ”(アカエイを意味)を合わせた造語だ。後部には従来どおり502psを発生する6.2リッター、V8エンジンと8速ATが搭載され、さらにフロントには最高出力162psのモーターを1基装備し、前輪を駆動するブランド初のAWD(全輪駆動)を実現している。

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ここでクルマ好きは似たようなモデルを思い浮かべるかもしれない。例えば2代目のホンダ「NSX」やフェラーリ「SF90」のような電動化ミッドシップAWDモデルだ。だがNSX等はフロントに2基のモーターを搭載してベクタリング(各モーターの差動によってコーナリングを助けること)を行い、エンジンにも1基のモーターを組み合わせたハイブリッドだった。それらの先達よりもE-Rayの仕組みははるかにシンプルということになる。

見た目だけではハイブリッドであることを見抜くのは難しく、外見から分かるのはリアフェンダーのバッジくらい。実際に走り出しても日本のハイブリッド車と違って、エンジンが頻繁に停止したり再始動を繰り返すことがないため、走行中はハイブリッドであることを忘れさせるほどだ。

カタログ上では4.8~6.4kmの電動走行が可能とされているが、これには「ステルスモード」というEV走行用モードを事前に選択する必要がある。このモードではエンジンを停止したまま静かに走行することができ、住宅街や駐車場でのエンジン音を控えたい場面に適している。

高速道路やワインディングを走らせると、この車の真価は静かなEV走行ではなく、むしろダイナミックな加速とコーナリング性能にあることが実感できる。フロントモーターへの電力供給によって、過去のコルベットと比べて一段とスムーズで、高速域でも抜群の安定性が確保されている。ステアリングを切ると自然にコーナリングが始まり、フロントのモーターユニットの重量とAWDの効果が相まって安定した走行が可能になっているのがよく分かる。

0-100km/h加速は2.5秒と、ブガッティ「シロン」に匹敵するが、運転は驚くほどカジュアルに楽しめる。これまで国産やヨーロッパ車を乗り継いできたオーナーにとっても、E-Rayのインテリジェントな走りは魅力的に映るだろう。

また、E-Rayは実用性もヨーロッパのスーパースポーツに劣らない。リアにはキャディバッグが2本入るラゲッジスペースが備わり、さらにフロントにもモーター配置後に残された実用的なトランクがあるため、ゴルフドライブにも適した一台と言える。

電動化によりパフォーマンスと走行の質感がさらに向上したシボレー コルベットE-Ray。これまでのコルベットファンだけでなく、新たな層をも引きつける、次世代のアメリカンマッスルの登場だ。

シボレー コルベットE-Ray クーペ3LZ  車両本体価格: 2350万円(税込)

    • ボディサイズ | 全長 4680 X 全幅 2025 X 全高 1225 mm
    • ホイールベース | 2725 mm
    • 車両重量 | 1810 kg
    • エンジン | V8 OHV
    • 排気量 | 6156 cc
    • 最高出力 | 502 ps(369 kW)
    • 最大トルク | 637 N・m
    • モーター最高出力 | 162 ps(119 kW)
    • モーター最大トルク | 165 N・m

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Text : Takuo Yoshida

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