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SUVが広げるロールス・ロイスの門戸 さらなる進化を遂げた「カリナン・シリーズⅡ」

自動車界の頂点を自称するロールス・ロイス。彼らが2018年に送り出したブランド初のSUVモデル「カリナン」はデビュー当初、「あのロールスが時流に乗った!」と驚きを持って迎えられた。だが同社の判断が正しかったことはすぐに証明され、カリナンは既存の顧客だけでなく新たな客層を取り込むことにも成功している。

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今年8月にはマイナーチェンジし、新たに「カリナン・シリーズⅡ」として登場した。今回の改変のテーマは、自らステアリングを握ることを好む、より若いカスタマーに向けた意匠や最新テクノロジーの導入にあるという。

初代との外観的な違いはひと目で分かる。ヘッドランプは半分ほどの薄さになり、L字型のデイタイムライトが囲むことで「ファントム」など等に通じるロールス・ロイスの最新の表情になっている。公開されたモデルの淡いボディカラーも、どちらかと言えば黒っぽくフォーマルだった初代とは異なり、カジュアルな印象だ。バンパー部分には斜めのラインが施され、縦横だけだったライン構成に比べて躍動感がプラスされている。

インテリアでは、運転席正面やダッシュパネル中央のモニター周辺のデザインが刷新された。助手席側のダッシュパネルに収められた時計には同社の象徴でもある「スピリット・オブ・エクスタシー」が添えられ、イメージを一新させるイルミネーションも備わっている。インフォテイメントに関しても最新のOSが導入され、よりドライバーオリエンテッドな仕上がりになっているようだ。

ロールス・ロイスは王侯貴族に愛されてきた歴史を持つ自動車ブランドであり、オーナーが自ら運転しない「静のイメージ」が強かった。ところがここ数年、躍動的なブランドイメージがモデルに反映された結果、2010年に56歳だったオーナーの平均年齢は現在、43歳まで下がっているという。多くのオーナーは移動時間を後部座席でくつろぐのではなく、自らステアリングを握って世界最高のクルマのドライビングを楽しむことに魅力を見出しているのである。

全てのロールス・ロイスがそうであるように、カリナン・シリーズⅡも全長5.3mを超える巨体であり、ラグジュアリーな室内空間を内包している。とはいえ、そのパワーユニットは排気量6.75リッターのV12である。571psの最高出力、850Nmもの最大トルクは「ドライブする楽しさ」を兼ね備えているに違いない。

公開されたカリナン・シリーズⅡからは、現代のロールス・ロイスが描く「カジュアル」というひとつの方向性を見て取れる一方で、このブランドが持つ圧倒的な格式の高さが健在であることも分かる。カリナン・シリーズⅡがどのような仕上がりを見せているのか? 機会を得た折にはしっかりとテストドライブを敢行し、その印象をリポートしようと思う。

ロールス・ロイス・カリナン・シリーズⅡ 車両本体価格: 4645万4040円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 5355 X 全幅 2000 X 全高 1835 mm
  • ホイールベース | 3295 mm
  • エンジン | V型12気筒 ツインターボ
  • 最高出力 | 571 ps(420 kW)
  • 最高トルク | 850 N・m
  • 変速機 | 8速 AT

 

Text : Takuo Yoshida

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