メルセデスAMG GTロードスター。二兎を追って、どちらも得たいあなたへ

オープン2シーターの爽快感はクルマ好きなら誰でも体験してみたいと思うもの。とはいえ、一流のゴルファーならば爽快感のために快適性能が犠牲になることを良しとしないだろう。 スポーティ・メルセデスの頂上ブランドが送り出すロードスターならば“犠牲”を伴うことなく、快適でスリリングなドライビング体験が可能だ。

普段のビジネス・シーンにおいてマーケティングやブランド作りといったものに尽力しているような人物こそ、自らのモノ選びではそういったものに左右されたくないと考えているはずだ。

クルマ選びに関しても、ブランドではなく本質を見抜くのである。とはいえ本質で選び抜いた逸品のバックグラウンドをひと通り押さえておくことも大切である。

クルマ好きならば、AMG(エーエムジー)がメルセデスの高性能版であるというくらいの知識は持っているはずだ。

高尚なメルセデスにさらなる磨きをかける、その技術力を高く評価されたAMGは、次第にメルセデスとの密な関係を築き上げ、現在ではメルセデス・ベンツ傘下で強い存在感を放っている。

今日の正式なブランド・ネームは「メルセデスAMG」であり、メルセデス・ベンツの各モデルに最もスポーティなAMGモデルを用意する他、今回紹介するAMG GTシリーズのような標準のメルセデス・ラインナップにはない独自モデルのプロデュースも行っているのである。

メルセデスAMG GTは、2015年に発表されたオープン2シーター・モデルであり、そのオープントップ版であるロードスターは翌年にデビューしている。

ガルウィングドアを備えていたSLRマクラーレンやSLS AMGといったモデルを前身に持つ、このメルセデスAMGが誇る最新のスーパースポーツカーの本質は、内部構造を透かして見ることで理解することができる。

フロントに搭載されるパワーユニットは、AMGがこのクルマのために開発した4リッターV8直噴ツインターボ・エンジンであり、476psの最高出力を誇る。

一方、7速のデュアルクラッチトランスミッション「AMGスピードシフトDCT」をリアエンドにマウントすることで、重量配分の適正化を実現している。

これこそ長年FR(フロントエンジン、リア駆動)レイアウトの可能性を追求してきたメルセデスの究極のアプローチなのである。

車体構造はアルミニウムを主体としたスペースフレームが採用され、スーパースポーツカーらしい低くて幅広いスタイリングを実現している。

またルーフ構造に頼らなくても充分なボディ剛性を確保できる優れたアルミフレームの存在によって、オープントップ・モデルが成立しているのである。

メルセデスのオープン2シーターといえば、伝統的なSLシリーズが真っ先に挙げられる。だがSLを超越したモデルが誕生した背景にはGTレースの存在がある。スーパースポーツカーをレース用に仕立て直したGT3モデルが達成する勝利こそ、現代のスーパースポーツの格付けをするうえで大いにモノを言うのである。

GT3レースで覇を争うライバルが、ポルシェ911、アウディR8、ランボルギーニ・ウラカン、ホンダNSX、BMW M6、ニッサンGT-R等々といったら、メルセデスAMG GTのポテンシャルがわかっていただけるだろうか?

しかもそんな面々を相手にGT3レースの最高峰とされるニュルブルクリンク24時間を制し、我が国のスーパーGTでもタイトルを獲得しているのである。

スーパースポーツとしての完璧なヒストリーとポテンシャルを持ち合わせたメルセデスAMG GTのオープントップ・モデルであるロードスターの走りは、当然のように並外れている。

0-100km/h加速を4秒ちょうどでこなし、最高速は303km/hにも到達する。一方コーナリング性能もスーパースポーツに相応しいもので、AMGリアアクスルステアリングによってリアタイヤも舵を切ることでFR車と思えないほどのシャープなハンドリングを実現しているのである。

だがゴルファーがメルセデスAMG GT ロードスターを選ぶ意義は、スーパースポーツカーとしての未曽有の高性能が、メルセデス一流の快適性能、安全性能の上に成立しているという事実だろう。

現実的な話をすれば、メルセデスAMGが誇るスーパーオープン2シーターにゴルフバッグを載せる場合、開口部が狭いリアのトランクスペースでは役不足であり、助手席スペースを使うしかない。

ゴルファーズ・エクスプレスとして万能とは言えない分、このクルマは普通のメルセデスを越えた走りと所有欲でオーナーの心を応えてくれる。

スーパースポーツカーとしての性能を楽しむ場合、AMGライドコントロールのスイッチをS(スポーツ)かSプラスに合わせてサスペンションをはじめとする走り全体をレーシングライクに引き締めることができるし、ラグジュアリークーペとしてしっとりと走りたければ、C(コンフォート)を選べばゆったりとした走りを享受できる。

もちろんメルセデスのハイウェイクルージングの要ともいえるオートクルーズ機構「ディスタンスパイロット・ディストロニック」も標準装備しているので、疲れているゴルフ場からの帰り道でも安楽なドライブを楽しむことができ、渋滞も苦ではなくなる。

スイッチ操作ひとつでガラリと切り替わるのは走行モードだけではない。ロードスターにはオープントップの爽快感を楽しむという極上のエクストラ・モードが付帯しているのである。

近年のオープンカーの最高レベルのルーフ性能は、時速50km/h以下で開閉が可能で、掛かる時間は11秒台となっている。メルセデスAMG GT ロードスターの電動開閉ルーフもこのスペック通りである。

オープンカーというと屋根を開けている時の爽快感ばかりに注目が集まるが、その性能評価は屋根を閉じている時のデメリットの少なさが重要視される。

屋根を閉じている時には金属製の屋根を備えたクーペのように静粛に振る舞うことができるメルセデスAMG GTロードスターは、オープンドライブも楽しみたいが、しかしクーペとしての走りでも一切妥協をしたくないという我儘ドライバーの願いを叶えてくれる稀有な選択肢なのである。

メルセデスAMGが頂上ブランドであることは言うまでもないので、ブランド買いするようなカスタマーも少なくない。

だがゴルフのギアやスコア、ファッションといった逐一に強いこだわり見せるクルマ好きゴルファーならば、究極のオープン2シーターの本質を追い求めメルセデスAMG GTロードスターに出会う、そんなストーリーが美しい。

Mercedes-AMG GT Roadster
メーカー希望小売価格:18,540,000円~(税込)

  • ボディサイズ | 全長4,550 × 全幅1,940 × 全高1,260mm
  • ホイールベース | 2,630mm
  • エンジン |V型8気筒DOHCツインターボ
  • 排気量|3,982cc
  • エンジン最高出力 |476ps (350kW) / 6000rpm
  • エンジン最大トルク |630Nm / 1600-5000rpm
  • メルセデスAMG GTロードスターのトピック
  • ●当代一流の運動性能と開放感あふれるオープンドライブの両立
  • ●ミッドシップ、350ps、一線級のスポーツカーとしての運動性能
  • ●幌を閉じた際のクーペに比肩する静粛性、快適性能
  • Text : Takuo Yosshida
  • Photographer : Koichi Shinohara

 

問い合わせ先

メルセデス・ベンツ日本  http://www.mercedes-benz.co.jp

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