旅する写心 〜Almost Paradise

1895年に始まった全米オープンだが、
西海岸で初めて開催されたのは
第二次対戦後の1948年リビエラだった。
勝ったのは初優勝のベン・ホーガン。

この勝利は語り草となり
今でも全米オープンのヒストリーのひとつだ。
その後テレビ放映が始まり
パーマー対ニクラスの名勝負が
全米オープンで続き、ドル箱の番組となった。

その後サンフランシスコのオリンピッククラブで
2度行われたが、
西海岸での放映は時差の関係もあり
反対意見は多かった。

しかし全米ゴルフ協会は
いつかアメリカのゴルフ場の象徴でもある
ペブルビーチで開催したいと考えていた。
1972年にやっとペブルビーチでの開催が決まり
多くのギャラリーを集めた。

優勝したのはジャック・ニクラス。
まさしく千両役者が名舞台で演じた試合は
現在の全米オープンの人気に
火をつけたといえるだろう。

その10年後にもまた
ニクラスとワトソンの死闘が
ペブルビーチの舞台で繰り広げられた。
そして2000年にはタイガーが
15ストロークの記録的大差をつけて優勝。

なぜここまでペブルビーチでの開催にこだわるのか。
もちろん象徴としての名前があるのも確かだが
美しさに加え、今日の道具の進化にも関わらず
難しさが変わらないという点。

もうひとつは誰でも宿泊すれば
プレーが可能という点だ。
これまで超プライベートコースの開催が
全米オープンの特徴だったが、
大きく転換した点といえるだろう。

今回2023年に初めて全米女子オープンが
ペブルビーチで開催されると決まった。
1946年に始まった全米女子オープンの歴史の中でも
大きな一里塚となりそうだ。
日本人の活躍が著しい女子ゴルフ、
また楽しみが増えた。

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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