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伝説の絵画技法から生まれた美しいきらめきが文字盤に フランク ミュラー「ヴァンガード スリム スフマート」

実物を目にした瞬間、文字盤のこれまでにない表情に息をのむ。角度や光の入り方によって移ろう、その繊細な輝き。シンプルでありながら、確かな存在感を宿す一本だ。

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ジュネーブのウォッチメゾン、フランク ミュラーの最新作「ヴァンガード スリム スフマート」。この時計は、機械式時計の魅力を知る者ほど、その奥行きに引き込まれる。

フランク ミュラーは、1990年代以降の機械式時計ブームをけん引してきた存在であり、時計業界における“革新者”として知られる。その歩みは、いくつかの側面から語ることができる。

まず、“複雑時計の革新者”。アブラアン−ルイ・ブレゲの系譜を受け継ぎながら、トゥールビヨンやパーペチュアルカレンダーといった複雑機構を腕時計へと昇華。複数の機構を統合したグランドコンプリケーションを次々と発表し、世界の時計愛好家を魅了してきた。創業者フランク ミュラー自身も、“マスター・オブ・コンプリケーション”と称される存在だ。

次に、“ケースデザインの革新者”。「トノウ カーベックス」に代表される曲線美、レクタンギュラーの新たな解釈として生まれた「ロングアイランド」、そして現代的な進化形である「ヴァンガード」。いずれも一目でそれとわかる造形で、ブランドの個性を強く印象づけてきた。

さらに2003年、“時計の価値の革新者”としての側面も加わる。「クレイジーアワーズ」は、時刻を読むための道具という役割を超え、時間そのものを楽しむ存在へと時計を変えた。分針が一周するたびに時針がジャンプし、ランダムに配置されたインデックスが時間の概念を揺さぶる。時計をキネティック・アートへと昇華させた象徴的なモデルだ。

そして2025年。フランク ミュラーは新たに、“文字盤デザインの革新者”という顔を手に入れる。本作「ヴァンガード スリム スフマート」が備えるのは、ジュエリーとも異なる独特の光の表情。見るたびに印象を変え、静かに引き込むような奥行きを持つ。

その表現を可能にしたのが、ルネサンス期に生まれた絵画技法「スフマート」。レオナルド・ダ・ヴィンチが用いたことで知られ、『モナ・リザ』や『最後の晩餐』にも見られる技法だ。

“消えていく”や“ぼかす”という意味を持つこの技法は、ミクロン単位の半透明な絵の具を幾重にも重ね、境界を曖昧にすることで、柔らかな陰影と深みを生み出す。本作では、この発想を文字盤に応用。エナメル塗料を20層にわたって重ね、焼成と研磨を繰り返す。さらに中央から外周へ向けたサンレイ仕上げを施すことで、光と陰が緩やかに溶け合う独特の表情が完成する。

腕に乗せると、針や風防の反射と重なり合いながら、光が静かに揺らぐ。中心から外へとわずかに濃度を増すグラデーションが、時間の流れそのものを視覚的に感じさせる。 時計の価値は、正確さや機能だけでは測れない。時間の長さや質は、私たちの感じ方によって変わるものだ。この一本は、日常の時間にわずかな余白と彩りを与える。 過ぎていく時間に、静かな奥行きをもたらす存在といえるだろう。

シースルーバックからは、超薄型のマニュファクチュールムーブメントも確認できる。外装だけでなく、内側まで丁寧に仕上げられている点も、この時計の魅力のひとつだ。写真では伝えきれない、この繊細な表情。ぜひ店頭で、自らの目で確かめてほしい。

FRANCK MULLER / フランク ミュラー
ヴァンガード スリム スフマート 価格:209万円(税込)
Ref. V43SS6ATFOSFUMATO ACOL(グリーン)
Ref. V43SS6ATFOSFUMATO ACSM(マンダリン)
Ref. V43SS6ATFOSFUMATO ACTT(ブラック)

SPEC
  • ケース径:縦52.3 ✕ 横42.5 mm
  • ケース厚:9.5 mm(SSケース)、自動巻き、パワーリザーブ約35時間(キャリバーFM708)、防水性能:日常生活防水

お問い合わせ先

  • FRANCK MULLER WATCHLAND東京 TEL : 03-3549-1949

Text : Yasuhito Shibuya

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