
スイスには、200年を超える歴史ある時計ブランドがいくつか存在する。その中でも、1755年にジャン=マルク・ヴァシュロンが創業した〈ヴァシュロン・コンスタンタン〉は、スイス時計の源流であるジュネーブの技術と精神を、今もなお受け継ぐ特別なメゾンだ。
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スイス高級時計財団の記録によれば、ジュネーブで時計作りが始まったのは1554年。ジャン・カルヴァンが宗教改革の波を起こしていた時代のことだ。カルヴァンによる贅沢の禁令によって、ジュエラーや金細工師たちが時計師へと転身。時計作りがこの地で盛んになった背景には、宗教的な変革と、当時の最先端を生きた職人たちの飽くなき探求心があった。
創業者ヴァシュロンもまた、そんなジュネーブの地で早くから才能を発揮していた。現存する最古の記録は、彼が見習い職人と結んだ雇用契約書。その若き時計師が24歳で構えた工房は、以後一度の中断もなく、270年にわたり精緻な時計を生み出し続けてきた。

その節目となるアニバーサリーイヤーに発表された記念コレクションの中でも、今回紹介する「トラディショナル・マニュアルワインディング」は、ひときわシンプルで端正なたたずまいを持つ一本だ。
ケース径38mm、厚さ7.7mm。スモールセコンドを配した王道のドレスウォッチは、世代を超えて受け継ぐにふさわしい、普遍的な品格を備えている。超絶技巧のモデルが並ぶコレクションにあって、価格面でも比較的身近な存在という点もうれしい。

製品名にある通り、心臓部には手巻きのキャリバー4400 AS/270を搭載。約65時間のパワーリザーブを誇り、ジュネーブ州がその仕上げを認証する「ジュネーブ・シール」も取得。さらに、今回の記念モデルには、メゾンが100年以上前に考案した“コート・ユニーク”仕上げがブリッジに施されており、シースルーバックからその緻密な美を鑑賞できる。
そして、このモデルを際立たせている最大の魅力が、文字盤のデザインだ。1880年から続くヴァシュロンの象徴、マルタ十字に着想を得た幾何学的パターンが、見れば見るほど惹き込まれる精緻さをたたえている。特に、モノトーンのグラデーションによる立体感の演出は秀逸で、まさに270年という歴史にふさわしい風格とモダニティを併せ持つ。
370本限定という希少性も含め、ヴァシュロン・コンスタンタンの真髄に触れるにはうってつけの一本。言葉では到底語り尽くせない美しさは、ぜひブティックの店頭で、実物と対話するように確かめてほしい。

VACHERON CONSTANTIN/ ヴァシュロン・コンスタンタン
トラディショナル・マニュアルワインディング 270周年記念限定モデル
Ref. 82172/000R-H118 389万4000円 (税込) 世界370本限定 / 7月発売予定
- SPEC
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- ケース径:38 ㎜
- ケース厚:7.7mm、ムーブメント:手巻き(Cal. 4400 AS/270)、素材:18Kピンクゴールドケース/アリゲーターストラップ、 防水性能:3気圧
お問い合わせ先
- ヴァシュロン・コンスタンタン:フリーダイヤル 0120-63-1755
Text : Yasuhito Shibuya








