“独立多眼式”デザインが新鮮 セイコー プロスペックス「スピードタイマー ソーラークロノグラフ1/100秒計測」

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日本の時計ブランドは1970~80年代にかけて起きた「機械式からクォーツ式へ」という技術革命をリードし、時計の世界を一変させた。その印象が強烈だったためか、日本の時計の魅力はもっぱら「技術的な先進性」だと思われている。それは間違いではなく、その後も“世界初”となる革新的な時計ムーブメントを続々と開発している。

こうした技術面ばかりでなく、デザイン面でも革新性・独創性を発揮してきた。それは日本人デザイナーが欧米デザイナーより、伝統的な時計のデザインコードに縛られることが少ないからだろう。今回紹介するセイコー「プロスペックス スピードタイマー ソーラークロノグラフ1/100秒計測」は、そんな独創的なデザインのクロノグラフだ。

デザインの“源流の源流”を辿ると、1964年に開催された「オリンピック東京大会」で公式計時を担当したセイコーが、さまざまな競技のために開発・製造したストップウォッチに行き着く。だが、初めて製品化されたのは1999年2月で、「キネティック クロノグラフ」(SBXZ001)という製品名で世界限定1000本が発売された。2000年からは「SEIKO Sportura(セイコー スポーチュラ)」初代コレクションの頂点モデルとして発売され、独創的なデザインが当時のバーゼルフェアで大きな話題となった。

「キネティック」はセイコーが1986年に開発し、1988年に製品化されたモデル。当時力を入れていた「自動巻き発電クォーツムーブメント」(現在は海外のみ製品展開)で、このモデルのために開発された「キャリバー9T82」を搭載している。クロノグラフ計測は1/10秒単位。2006年までデザインをリファインしながら販売され、当時の価格は20万円前後とクォーツ式のクロノグラフとしては非常に高額だった。

デザインの独創性は一目瞭然。一般的にはインダイヤル(文字盤の中の小さなダイヤル)とするクロノグラフのカウンター(積算計)を独立させた“独立多眼式”と呼ばれるスタイルだ。デザインしたのは当時セイコーエプソンのデザイン部(現在はセイコーグループ)に所属していた佐藤紳二氏。「積算計だけを独立させる」というデザインは、誕生から25年が過ぎた今も新鮮だ。

「スピードマスター」コレクションから2023年7月に発売されたプロスペックス スピードタイマー ソーラークロノグラフは、この“独立多眼式”スタイルを継承・発展させたもので、同年の「グッドデザイン賞」にも輝いた。新開発のソーラークロノグラフムーブメント「キャリバー8A50」を搭載し、1/100秒単位まで計測できるハイスペックモデルだ。

独創的なデザインと、電池交換不要のソーラー式といった使いやすさも魅力。ありきたりのクロノグラフに飽きたというあなたにぜひおすすめしたい一本だ。



SEIKO PROSPEX / セイコー プロスペックス
スピードタイマー ソーラークロノグラフ1/100秒計測 (左:SBER001 右:SBER003)  11万円(税込)

SPEC
  • ケースサイズ:42㎜
  • ソーラー駆動クォーツ、SSケース&ブレスレット、10気圧防水

お問い合わせ先

  • セイコーウオッチ お客様相談室 フリーダイヤル:0120-061-012

Text : Yasuhito Shibuya

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