鉄道時計がルーツ ボール ウォッチ「エンジニア アウトライアー」の並外れた機能性

精度や信頼性の向上など、時計の普及と進化に“鉄道”が大きく関わっていることは、懐中時計の愛好家や一部の鉄道マニアには知られている事実だ。特にアメリカがルーツの時計ブランドにはそんな歴史を持つものが多い。今回紹介する「ボール ウォッチ」がまさにそれだ。

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ボール ウォッチはオハイオ州のクリーブランドでウエブ・クレイ・ボールが開業した時計宝飾店。1883年、アメリカで「標準時」システムが採用されたとき、彼はアメリカ海軍天文台からの時報を使用して、同地に正確な時間を導入した最初の宝石商だった。

1891年に大きな転機が訪れた。当時のアメリカは鉄道先進国で各地に続々と鉄道が新設されていた。だが創成期の産業にはありがちなことだが、安全管理のシステムが不十分で鉄道事故が頻発。彼の地元でも同年4月、湖岸サザンミシガン鉄道で列車同士の正面衝突・炎上事故が発生し、運転していた機関士や乗務員ら多数が犠牲となった。後に事故の原因は機関士の時計が不正確だったことが判明。この悲劇を繰り返さないためにと、同年7月、同鉄道の監督検査官に任命された。

時計宝飾店を経営する一方で、鉄道運行の安全確保のために、鉄道時計が満たすべき精度と品質の基準を定めるとともに、定期的に検査・記録・管理するシステムを構築。また自らの時計会社「ボール ウォッチ カンパニー」を創業し、鉄道時計の製造・販売に乗り出した。そして彼はアメリカの時計史、鉄道史に名を残す偉大な人物となったのだ。

(左上)創業者のウエブ・クレイ・ボール。(右上)クリーブランドにある彼の時計店。(左下)ボールウォッチの広告。彼の作った鉄道時計の検査基準と検査システムは「ボール・システム」と呼ばれて「正確な時間」の代名詞にもなった

それから100年あまりが経過した1990年代、アメリカを代表するこの時計ブランドは、当時世界No.1の時計フェアだった「バーゼルワールド」で復活を遂げた。製品の魅力は、カンパニーのルーツである鉄道用の懐中時計に通じる優れた精度と信頼性だ。時計のプロが感心する独自の仕様や素材を採用することで、視認性や耐衝撃性、耐磁性のすべてを高い次元で実現した。

今回紹介する「エンジニア アウトライアー」は旅行やビジネスに便利な最新の機械式デュアルタイムGMT(Greenwich Mean Time)モデルだ。ケースとブレスレットには、スポーツモデルでも採用する硬度や耐蝕性に優れた「904L」という贅沢なステンレス素材を採用した。

スイスクロノメーター検定協会(COSC)の精度テストに合格した自社製ムーブメント「Cal.RRM 7337-C」に、ローカルタイムを示す通常の時針だけを1時間単位で動かし簡単にタイムゾーン変更ができる機構を新たに追加。この機械を「ミューメタル」という独自素材のインナーケースに入れることで、1000ガウスという高い耐磁性と、5000Gsという優れた耐衝撃性を叶えている。

6時位置のスペック表記に注目。マイクロ・ガスライトによる自発光性のインデックス。両方向回転式の24時間ベセルにもこの素材が使われている

ローカルタイム(現地時間)を示す通常の時・分・秒針と、ホームタイム(母国時間)を示す24時間で文字盤を1周する24時針で、2つのタイムゾーンの現在時刻がすぐに読み取れる。さらに両方向回転式の24時間ベゼルに加え、文字盤にも24時間スケールを搭載。この2つを活用すれば3つのタイムゾーンの時刻も知ることができる。

(左)ホームタイムの時刻を示す24時針は先端に赤いインデックス付き。(右)別のタイムゾーンに到着したとき、1時間単位の時差はリュウズですぐに修正できる

また「マイクロ・ガスライトチューブ」による暗闇における優れた視認性もこのモデルの隠れた魅力。光エネルギーを蓄えて一定時間発光させる蓄光素材とは違い、ガラスのチューブに安全に封入された放射性トリチウムのエネルギーで、チューブ表面に塗布された蛍光塗料が「自ら発光する」仕様。そのため、暗い場所で連続使用しても視認性が劣化することがない。なおこのモデルに限らずボール ウォッチほぼすべての製品に採用されている。

ちなみに「アウトライアー(outlier)」とは英語で「並外れた」という意味。過酷な環境でも安心して着けられる海外旅行にもぴったりのデュアルタイム(GMT)モデルは時計界でも他に見つからない。

BALL WATCH / ボール ウォッチ
エンジニア アウトライアー(Ref.DG9002B-S1CJ-BK) 46.2万円(税込)

SPEC
  • ケース径:40 mm
  • 自動巻き、SS(904L)ケース&ブレスレット、C.O.S.C.認定クロノメータ ―、200m防水

お問い合わせ先

  • ボール ウォッチ・ジャパン Tel: 03-3221-7807

Text : Yasuhito Shibuya

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