旅する写心 〜The House of The Rising Sun

昨年中止となった全英オープンが
今週Royal St.George’sで開催される。
全英オープンといえばスコットランドの
激しい天候をイメージするだろうが
このイングランドを代表する
セントジョージズも、ひとたび風が吹くと
手がつけられないほど厄介なコースだ。

このコースには全英オープンで3回、
コースの撮影で1回訪れた。
落ち着いた風格のあるクラブハウスと、
可愛いスタート小屋が待ち受ける。
荒々しさなど微塵も感じさせないほど
優しく迎えてくれるが、
コースに出ると一気に表情を変える。
ドーバー海峡からの風は容赦なく、
コースのレイアウトは
ホールのたびに方向が変わり
頭の中がパニックになってしまう。

あのスタートの時の
穏やかな雰囲気はなんだったのか。
小さいころ母親はいつも
「いってらっしゃい!!」と声をかけてくれたあと
必ず「気をつけてね」と続けた。
このスタート小屋は
そんな母親のような
存在に思える。

Royal St. George’s Golf Club
ロイヤルセントジョージズゴルフクラブ

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

閉じる