優勝シーンをレンズに収める。
幾多のそれらはいつでも
ドキドキする瞬間であり
ワクワクする瞬間でもある。
昨日の金谷の優勝シーンは
アマチュアとは思えない表現力で
自らのパフォーマンスを形にしていた。
最終日、ゴルフ写真家の朝は
ピンポジションの確認から始まる。
最高のシナリオの最終シーンを
スタート前に想像するためだ。
今年の御殿場の18番は例年とは違い
グリーン奥の上の段に
カップが切られていた。
屋上に1台、グリーン奥に1台
リモコンカメラをセットし、
自分のカメラと同期させた。
頭にはすでに
いくつかのシナリオと構図がある。
しかしこの日の金谷のパフォーマンスは
想像した以上のものだった。
最終ホールのグリーンで
アマチュア優勝を決める「ここ一番」の
しかも
イーグルパットを撮ることになるとは--。
何度も引き離されそうになりながら
凄まじいバック9の展開を食い下がり、
立て直して、勝った姿はプロ顔負けだ。
レンズが捉えたのは
まさしく大舞台での歓喜の雄叫びだった。
また一人、
スーパースター誕生の瞬間を
捉えることができたのかもしれない。
歴史が証明するだろう。
あの瞬間、オレが見たものを。
宮本 卓Taku Miyamoto
1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。