トヨタ クラウンといえば、ゴルファーはもとより、日本人の誰もがその名を認知し実際に触れたことのある日本を代表するクルマである。 今から64年前の1955年に産声を上げ、昨年15代目へと進化を果たしたクラウン。その最新モデルは、スポーティないでたちと鍛え上げられた走りでより広い年齢層に受け入れられている。 先頃、横浜元町ショッピングストリートで開催されたイベント「クラウンDay at Motomachi」では、歴代クラウンの魅力を多くのファンが再認識したのである。
週末の横浜元町ショッピングストリートはいつもたくさんの買い物客で賑わっているが、2月最後の週末は特に賑わいを見せていた。
長いショッピングストリートの端から端まで人で溢れ返っている。クラウンDay at Motomachi、トヨタ クラウンのイベントが行われていたのだった。
通りの中央に点々と並べられた歴代のクラウンは、長い歴史を誇る横浜元町の雰囲気によく馴染んでいる。どちらも長い歴史の中で培われ、多くの人に愛されてきたてきたという共通項で結ばれているからだろう。
展示車両の中にはもちろん、いま僕が乗っている最新のクラウンも展示されていた。ストリートの中ほどまで行くと、特設のステージでタレントの釈由美子さんがトークショーを行っており、こちらはもう簡単には通り抜けられないほど人が集まっていた。
日本を代表するクルマ、いつかはクラウン、1955年に初代がデビューしたトヨタ クラウンは、いつの時代も日本人の憧れの1台であり続けてきた。
トヨタ・クラウンというクルマと趣味としてのゴルフを僕に教えてくれたのは父だった。週末になるとクラウンのトランクにゴルフバッグを詰め込み、熱心にカントリークラブに通っていた父の背中を見て育ったのである。
高校生になった頃からは一緒にゴルフ場に連れて行ってもらうようになり、クルマの免許を取って初めてステアリングを握った1台も父のクラウンだった。
今日、多くの人たちが横浜元町で目を輝かせながら歴代のクラウンを見て回る姿を目の当たりにして、改めてこのクルマの人気を再認識させられた。
例えばクルマの免許を持っていない人でも小さな子供でも、日本で生まれ育ったからには、きっとクラウンに触れて育ってきたはずなのだ。
歴代のクラウンはタクシーとしても重宝されてきたし、僕が自動車の免許を取る時の教習車もクラウンだったのである。
横浜元町ショッピングストリートに展示されたクラウンの中で、最も印象に残ったのは、初代クラウン(RS型)だった。
黒塗りのボディにメッキパーツがきらりと光る貴重な初代は、64年前からタイムスリップしてきた新車のようにキレイな1台だった。現行のクラウンも威風堂々とした雰囲気は受け継いでいるが、初代のオーラにはかないそうもない。
また3代目(MS50系)は今回初めてその姿を見て、そのスポーティなデザインに驚かされた1台だった。
今回のイベントではもちろん、かつて我が家にいたのと同じモデルにも出会うことができた。僕が子供の頃我が家にあった7代目(MS120系)とは久しぶりの再会である
「いつかはクラウン」というフレーズはこのクルマのCMで使われて浸透したものだということを、僕は初めて知ったのだった。
また10代目(JZS150系)は、それまで乗せてもらうばかりだった自分が、初めて運転する側になった記念すべき1台である。
それまでは柔らかなシートと広い室内という印象が僕が感じていたクラウンの全てだった、2.5リッターエンジンを搭載した10代目は、想像していたよりも遥かにドライブしていて楽しく、クラウンの新たな一面を教えてくれたのだった。
丸みをおびたボディからはじまったクラウンの歴史は、時代とともに少しずつ大型化し、流行を先取りするように角ばってみたり、再び角が取れて滑らかになってみたりと姿を変えていく。
だが鼻先に掲げた象徴的な王冠(クラウン)のエンブレムを確認するまでもなく、どの世代もひと目でクラウンだとわかる。時代の空気を的確に読みつつ、しかし自らの貫禄を上手にデザインに取り込むことで、トヨタ・クラウンの歴史は紡がれてきたのである。
ユーザーの若返りを目指したというだけあって、15代目となる現行クラウンのスタイルは颯爽としたスポーツセダンの雰囲気を纏っている。まだクラウンは早いのでは? と思っていた僕のようなユーザー予備軍に、クルマの方から近寄ってきてくれた感じなのである。
これまでクラウンにはロイヤルとアスリートという2つのラインが存在したのだが、今回からはスポーティなイメージの中にクラウンならではの品格ある世界観も含めていくかたちになる。
特に走りの部分は、スポーツカーが生まれる場所として世界的に有名なドイツのニュルブルクリンク・サーキット北コースで鍛え上げられている。これは、クラウンとしては初めての試みであり、そのスポーティなスタイルに劣らぬ懐の深い走りを実現している。
現行クラウンは室内のデザイン、そして機能性もバランス良くまとめられている。低く傾斜したダッシュパネルや大き目のセンターコンソール、そしてホールド性の高いフロントシートはスポーツカーを彷彿とさせる。
一方リアシートは足元スペースも充分に確保されており、クラウンの伝統に則ったおもてなしの空間になっている。
リアのシートバックを倒して荷室の容量を拡大するトランクスルー機能は付いていないが、トランクだけでゴルフバッグ4本が乗るように設計されているので、4名乗車でゆったりとゴルフ場を目指すことができるのである。
クラウンDay at Motomachiは、まさに大盛況だった。やはりクラウンは多くの人から愛される、日本を代表する1台なのである。僕は最後にもう一度、初代クラウンのところに戻って記念写真を撮影した。今から60年以上前にも、初代クラウンはこの道を悠々と走り、その雄々しい姿で道行く人の視線を集めていたに違いない。
僕はクラウンに乗り続けようと思う。いつしか息子にステアリングを託す瞬間を待ちわびながら。
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TOYOTA CROWN 2.5 RS Advance
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- ボディサイズ | 全長4,910 × 全幅1800 × 全高1,455mm
- ホイールベース | 2,920mm
- エンジン | 直列4気筒
- 排気量|2,487cc
- 最高出力 | 184ps(135kW) / 6,000rpm
- 最大トルク | 221Nm / 3,800~5,400rpm
お問い合わせ先
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■ TOYOTA クラウン
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