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教科書には載らない歴史の裏側 「本能寺の変」を物語でひも解く

友人からでも、家族からでも、書評でも、課題図書でもない「オススメの本」を読んだことはありますか? 「文喫 六本木」副店長の濱中諒太朗さんにBRUDER読者をイメージした一冊を選んでもらいました。

「信長の棺」/加藤廣

日本史には、史料が豊富に残されていながら、なお真相が見えない出来事が数多くあります。「本能寺の変」も、その最たるもののひとつです。加藤廣『信長の棺』は、歴史書では語り切れないその空白に想像力を差し込み、ひとつの“答え”を物語として提示する歴史文学です。

物語は、織田信長の死後、その遺骸の行方を追うところから始まります。合戦の華やかさではなく、残された者たちの証言や行動を丹念に積み重ねていく構成は、史実に即しながらもミステリを読むような緊張感を生み出します。関係者それぞれの思惑が交錯し、封じられてきた歴史の裏側が少しずつ浮かび上がっていきます。

主人公は、『信長公記』の著者として知られる太田牛一。史実でも実際に信長を間近で見続け、記録してきた人物だからこそ語り得る視点が、本作に強い説得力を与えています。史料として残された事実と、そこから導かれる仮説。そのあわいを描く面白さは、歴史小説ならではの醍醐味です。史実を知っているからこそ、より深く惹き込まれる一冊です。

「信長の棺」加藤廣(文春文庫)/上¥693、下¥737(税込)

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COOPERATION

文喫 六本木 副店長/ブックディレクター 濱中諒太朗

2020年日本出版販売入社。企業内ライブラリーや商業施設のブックディレクションを手掛け、2023年より文喫 副店長として企画選書や展示など、本のある空間プロデュースを行う。好きなお菓子はギンビスのアスパラガス。

Edit : Hiroto Goda

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