旅する写心~Tiger In The Rain

この度ゴルフダイジェスト社の雑誌
「チョイス」の休刊が発表になった。
僕も永らく表紙を担当し、
この雑誌に関われたことが
大きな経験となったのは間違いない。

1997年、タイガーのマスターズ初優勝を
記念して、チョイスが特別号を出した。
タイトルは三田村昌鳳さんが
「載冠虎児」という四文字を考えた。
一瞬、意味不明なんだが
なんとなく伝わってきた。
後日、三田村さんと飲んだ時、
あの四文字の発想はなんだったのかと
尋ねてみた。
すると、意外な話をし始めた。

1907年に日本アマが始まったが、
最初は在日外国人だけの大会だった。
日本人が出場したのは10年後。
名は“一色虎児さん”だ。
その名が印象に残っていて
ひらめいたとか。
さすが三田村さん、、、

その年の暮れ、
タイガーがタイの試合に出場した時に
この雑誌をプレゼントした。
彼はとても喜んでくれて、
表紙の文字の意味について聞かれた。
僕の英語力では詳細を伝えるのは難しく
一文字だけを指して「タイガーだよ」
と言ったら、もう一冊にサインをくれた。

すっかり忘れていたのだが
イギリス王室のニュースと
廣野の日本アマを観ていたら
遠い昔の想い出がよみがえった。

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Clubほか、国内数々のオフィシャルフォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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