旅する写心~Sweet Memories

ミレニアムイヤーで大騒ぎとなった2000年、
ゴルフ界も賑やかな一年だった。
帝王ジャック・ニクラスは
ペブルビーチで行われた全米オープンに続き、
自身が設計したバルハラでの全米プロを
引退の舞台に選んだ。

その相手を務めたのはタイガー・ウッズだ。
ゴルフ界のスーパースターの新旧ペアリングは
まさしく時代の転換期に相応しい。
タイガーはその年、
念願の全米オープンに初優勝し、
セント・アンドリュースでの全英オープンを初制覇、
続く全米プロに注目が集まった

初日から首位を譲らず、1打差で迎えた最終日、
無名だったボブ・メイと、
ゴルフの歴史に残るような死闘が始まった。
互いにスーパーショットの連続で相譲らず
プレーオフへともつれ込んだ。
3ホールのストロークプレーで、
タイガーは16番ホールで
長いパットを沈めてバーディを先行したものの
簡単には勝たせてもらえなかった。

最終18番、共にティショットを左に曲げたが、
辛くもタイガーはパーで逃げ切って優勝。
1953年ベン・ホーガン以来の
3連続メジャー優勝、
そして翌年のマスターズでの
「タイガー・スラム」の大記録へと繋がった。
あの瞬間に立ち会えたこと、
遠い記憶、スウィートメモリー。

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Clubほか、国内数々のオフィシャルフォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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